センチュリー・ロイヤルの「重み」

センチュリーも、2代目センチュリーの時代の2006~2008年にセンチュリーをベースとした皇室専用の大型リムジン「センチュリー・ロイヤル」を製作し、現在も御料車として運用されている。しかし現行の3代目になってからは作られていない。

世界にセンチュリーブランドを問うとき、最新のセンチュリー・ロイヤルを象徴とすべきではなかったかと思う。つまり、センチュリーブランドと皇室との関係を暗示することで、世界にセンチュリーの格式を示すべきだったのではと思うからだ。

緋色のクーペでは、レクサスを上回る高級高価なブランドであることは示せても、どういう位置づけの、どのような価値のあるブランドなのかが曖昧あいまいになってしまう。

作りの精緻さ、日本の伝統工芸の匠といったハード的な側面だけではロールスロイスやベントレーとは対抗できない。

なぜならイギリスはイギリスで伝統工芸の匠の世界があり、そちらも素晴らしいものだからだ。このクラスになるとものとして仕立てが素晴らしいのは当たり前で、格式こそが重要になる。

マイバッハに足りなかった「格式」

メルセデス・ベンツは2002年にマイバッハブランドでこのクラスへの参入を試みたが、当初から販売は芳しくなく独自の販売網の維持が難しくなり、2012年に撤退した。その後マイバッハはメルセデス・ベンツブランドの最高級バージョンを示すサブブランドとなっているが、マイバッハに決定的に欠けていたのが「格式」を担保するものだったと思う。

マイバッハは戦前に存在した超高級車ブランドだが、知名度は低く、戦後の存在感はゼロに等しかった。過去の栄光を掘り返しても現在通用する格式を得られないのだ。

結局マイバッハは、「メルセデス・ベンツの高級版」としてしか理解されなかったといえる。結局、格式としてはメルセデス・ベンツのレベルにすぎないのである。

現在、ロールスロイスは実体としてはBMWによって開発されているし、ベントレーはフォルクスワーゲンによって作られている。しかしどちらもBMWやフォルクスワーゲンとは比較にならないほどの格式を持っているからこそ、世界の富裕層が支持するのである。

そもそも、ロールスロイスとベントレーがドイツメーカー傘下にあるのは、ロールスロイスを巡ってBMWとフォルクスワーゲンが買収合戦を演じた結果である。

両社とも、自社ブランドでは獲得できない超富裕層を狙える格式ある最高級ブランドを是が非でも手に入れたかったのである。