人生の豊かさに関わる「働く」寿命

③労働寿命

続いて「労働寿命」。これは何歳まで働けるかということを指す。実際に働いていくばくかの収入を得ることができる期間である。

楠木新『定年後、その後』(プレジデント社)
楠木新『定年後、その後』(プレジデント社)

もちろん正社員として働くことだけを指すのではなく、働き方の形は関係ない。定年などで雇用寿命が終了してもその後も労働寿命は続くのである。付け加えると、雇用寿命だけを考えれば50代がピークになるが、人生のピークは定年後以降にあるのだ。

多額の退職金や年金を受け取り、あるいは親の豊富な遺産があるなどの理由で、働かなくても生活できるという人もいる。しかしよくよく話を聞いてみると、資産があって働かないという生き方は楽であっても、それで必ずしも幸せだといえない場合もある。むしろ働かないで済むからこそ不幸になっていると感じる人もいる。

趣味で働くという表現は適切でないかもしれないが、お金に不自由はなくても働きに出ている人は少なくない。いずれにしても労働寿命は、健康寿命、資産寿命、後述する人間関係寿命とも関連しており、働く力があるということは人生を豊かにするうえで大切なことだと感じる場面も少なくない。

「お金」より「人間関係」の寿命が重要になってくる

④資産寿命

「資産寿命」は、老後の生活費をまかなううために蓄えた資産が尽きるまでの期間。お金をどれくらい持っていて、それがどのくらいの期間続くのかということだ。

⑤人間関係寿命

最後の「人間関係寿命」。これは人とのつながりの寿命といってもよいだろう。

以前の私は、この寿命のことはそれほど頭になかった。ただ今回、新著『定年後、その後』をあらわすにあたり、取材や自身の体験を通じて、人間関係寿命が存在し、なおかつ、70歳を超える「定年後、その後」のステージになるととても大切なものであることを感じ取ったのである。