なぜ中国人富裕層が「国外脱出」するのか
中国人富裕層の「移住の流れ」は、日本側の制度的寛容さだけでは説明しきれない。背後には、中国国内における政治的統制の強化という、より深層的な要因が横たわっている。
毛沢東、鄧小平の時代を経て、中国の政治環境は2010年代以降、大きく様変わりした。とりわけ習近平が共産党総書記として政権を掌握すると、鄧小平の改革開放路線のもとで巨額の富を築いた「紅二代」や「太子党」と呼ばれる特権層との対立が激化し、やがて「反腐敗運動」の名のもとに、彼らに対する徹底した粛清が断行された。
表向きには汚職の一掃を掲げたこの運動も、実際には自身の権力基盤を強化し、党内での求心力を高めることを目的とした政治的手段に他ならなかった。その結果、共産党による統制はかつてないほど強化され、経済的に成功した者が自立的な経済活動を展開する余地が、完全に奪われてしまう形となった。
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