ヘルパンギーナ、プール熱の特徴は?

また、昨年流行したヘルパンギーナは、突然38度以上の高熱が出て、口蓋垂(のどちんこ)の周辺に水ぶくれのような水疱ができる病気。原因は手足口病とかなり似ていて、コクサッキーウイルスA群、コクサッキーウイルスB群、エコーウイルス、エントロウイルスへの感染だ。同じウイルスへの感染は1度きりだが、複数のウイルスが原因になっているので、何度もかかる人もいる。

手足口病との違いは、手足口病は微熱で済む場合が多いのに対し、38度以上の高熱が出ること、そして、水疱は口の中だけに限られることだ。やはり、特効薬はなく、高熱でぐったりしているというときや頭痛がひどいときに解熱鎮痛薬を使うなど、対症療法が中心になる。

一方、プール熱は、プールで感染が広がることが多く、正式には咽頭結膜熱。暑さが本番でプールに入る機会が多くなるこれから注意が必要な病気だ。ただ、感染はプールを介したものばかりではなく、病院や介護施設、デイケアセンターなどで、高齢者が感染するケースも報告されている。また、近年は、夏だけではなく、秋と春にも小さな流行がみられることがある。

3大夏風邪の中でこの病気だけは病原体が異なり、原因は数種類のアデノウイルスへの感染だ。症状は、発熱、頭痛、食欲がなくなったり、全身がだるくなったり、のどの痛み、結膜炎にともなう目の充血、痛み、涙目など。特効薬はなく、目の症状が強ければ点眼薬による治療が必要になる。

予防は、3大夏風邪すべて、インフルエンザなどと同じように、手洗いの励行、感染者との濃密な接触やタオルの共用を避けるといったことが中心になる。手足口病に対しては、重症化による死亡者が多く出た中国や台湾などで、ワクチンの開発が進んでいるが完成はまだ先のようだ。手足口病とヘルパンギーナは、体の症状が回復してからも、長期間便にウイルスが排出されることがあるので、乳幼児が発症した後に便を直接触ったりしないよう、おむつの処理には特に気を付けたい。トイレや洗面所でのタオルの共用もしばらくは避けたほうがよさそうだ。

手足口病とヘルパンギーナは、出席停止にするなど保育園、幼稚園、学校で予防すべき伝染病1種~3種には指定されていない。つまり、症状が強く出ていてつらいときだけ保育園や幼稚園、学校を休むだけで、特に長期間休む必要のない病気の一つになっている。感染しているのに症状が出ない人も多く、症状が出た子どもだけが保育園や幼稚園、学校を休んでもあまり意味がないからだ。プール熱だけは、感染を広げないために、原則として、発熱など主な症状がなくなった後、2日を経過するまで出席してはならないことになっている。

手足口病やヘルパンギーナに乳幼児がなると、口の中が痛くて泣いたり食欲が落ちたりするので、親は心配でやきもきしてしまう。ただ、乳幼児に多い感染症は、大人になってから発症すると症状が強く出ることもある。乳幼児のときにかかって免疫をつけておいたほうが大人になって感染したとき症状が出ないか、軽く済む可能性が高い。高齢者や乳幼児の中にはまれに重症化する人もいるので、”単なる夏風邪”とあなどらないようにしたい。

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