楽天証券は、ネット証券の中でも取引手数料が比較的低いことで有名だ。
NISA口座なら中国株以外の取引手数料が全て無料で、課税口座でも外国株式以外のほとんどの取引が手数料無料だ。
ただし、全ての取引が無条件で手数料無料になるわけではなく、コースを選択したり、一定の条件を満たしたり、一手間必要になる場面があり、口座を開設してから戸惑うこともあるだろう。
この記事では、楽天証券の取引手数料について、手数料金額や手数料が無料になる設定、条件を分かりやすく解説する。投資初心者はもちろん、経験豊富なトレーダーにも役立つ情報なので、ぜひ参考にしてほしい。
- NISA口座なら中国株以外の取引手数料が無料
- 課税口座でも外国株式以外のほとんどの取引手数料が無料
- 国内株式の手数料コースは「ゼロコース」がおすすめ
- 「リアルタイム為替取引」を使えば、米ドル/円の為替手数料が無料
\ほとんどの取引で手数料無料/
【商品別】楽天証券の手数料を他の証券会社と比較!
楽天証券と各ネット証券の取引手数料を比較してみると、次のようになる。
証券会社 | ||||||
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つみたて 投資枠 |
投資信託 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
成長 投資枠 |
投資信託 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
日本株 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | |
単元 未満株 |
無料 | 無料 | 無料 | 無料 | - | |
米国株 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | |
中国株 | 約定代金の0.275%(最低550円) | 約定代金の0.286%(最低51.7香港ドル) | 無料 | - | - | |
海外ETF | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
証券会社 | ||||||
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国内株式 (現物取引) |
〜5万円 | 無料(※1) | 無料(※2) | 55円(※3) | 55円(※4) | 無料(※5) |
〜10万円 | 無料(※1) | 無料(※2) | 99円(※3) | 99円(※4) | 無料(※5) | |
〜100万円 | 無料(※1) | 無料(※2) | 535円(※3) | 535円(※4) | 1,100円(※5) | |
国内株式(信用取引) | 無料(※1) | 無料(※2) | 99円~(※3) | 99円~(※4) | 0円~(※5) | |
外国株式 | 米国株式 | 約定代金の0.495%(上限22米ドル) | 約定代金の0.495%(上限22米ドル) | 約定代金の0.495%(上限22米ドル) | 約定代金の0.495%(上限22米ドル) | 約定代金の0.495% (上限22米ドル) |
為替手数料 | 25銭/1米ドル(※9) | 25銭/1米ドル(※9) | 買付時:0銭売却時:25銭 | 20銭/1米ドル | 25銭/1米ドル(※10) | |
投資信託 | 買付手数料無料 | 買付手数料無料 | 買付手数料無料 | 買付手数料無料 | 買付手数料無料 | |
IPO | 買付手数料無料(※11) | 買付手数料無料(※11) | 買付手数料無料(※11) | 買付手数料無料(※11) | 買付手数料無料(※11) |
NISAは基本手数料無料だが、今後課税口座での投資を考える人は国内株式や外国株式の手数料にも注目しておきたい。
楽天証券は外国株式を除いて、ほとんどの取引手数料が無料となっている。ただし、手数料を無料にするためにはいくつか条件もある。各商品ごとに詳しく見ていこう。
- 国内株式
- 外国株式
- 投資信託
- ETF(国内、海外)
- 単元未満株
- IPO
- 信用取引
\ほとんどの取引で手数料無料/
国内株式
楽天証券の国内株式取引における手数料プランは、次の3つの選択肢がある。
かつては「いちにち定額コース」「超割コース(大口優遇)」の2種類しかなかったが、2023年10月、新たに「ゼロコース」が加わった。
約定代金(※)にかかわらず、手数料無料で国内株式の現物取引と信用取引ができる。
1日の約定代金合計額に応じて取引手数料が決まる。
1回の約定代金に応じて取引手数料が決まる。大口優遇の条件を満たすと取引手数料が無料になる。取引手数料の1%分(大口優遇は2%分)のポイントがもらえる。
このうち、最もおすすめなのは、約定代金や約定回数にかかわらず手数料が無料になる「ゼロコース」だ。
「いちにち定額コース」では、1日の約定代金が100万円までは手数料が無料だが、100万円を超えると2,200円(税込み)の手数料がかかる。
ゼロコースを利用するには、SORとRクロスの利用に同意する必要がある。
スマート・オーダー・ルーティング(Smart-Order Routing)の略。株式の注文システムの一つで、複数市場から最も有利な気配価格を提示している市場を選択し、注文を執行できる。
楽天証券が運営する独自の注文マッチングシステム。利用者同士の売り注文と買い注文がマッチングした際に売買が成立する。
SORとRクロスはどちらも基本的には取引を有利に進めるためのサービスであり、一般の個人投資家にとってデメリットはない。
通常の取引を予定している人はゼロコースを選択するとよいだろう。
ちなみに、楽天証券の「超割コース」は高額で取引する人に向いているコースだ。
基本的には1回の約定代金に応じて取引手数料がかかるが、「大口優遇」の条件のうち、いずれかを達成することで、国内株式の現物取引、信用取引の手数料が無料となる。
まいにち判定 | 信用取引 | 本日の新規建約定代金の合計が3,000万円以上 |
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1カ月の新規建約定代金の合計が3億円以上 | ||
本日15:30時点の信用建玉残高が3,000万円以上 | ||
まいつき判定 | 貸株 | 1カ月の平均残高が3,000万円以上 |
投資信託 | 1カ月の平均残高が3,000万円以上 |
さらに、大口優遇が適用されると、信用建玉(たてぎょく)といって、証券会社からお金を借りて売買する取引において、扱える金額の上限が拡大するメリットがある。
高額取引をする人は「超割コース」、取引金額が多くない人やとにかく取引手数料を低く抑えたい人は「ゼロコース」を選ぶとよいだろう。
▼ゼロコースは設定が必要
ゼロコースを選択するには、設定する必要がある。手続きはこちらから始められる。ログイン後、画面中央の「現在の手数料コース」横にある「変更」ボタンをタップし、「ゼロコース」を選択しよう。
\ゼロコースに設定で手数料がお得/
外国株式
楽天証券の課税口座での米国株取引手数料は、他大手ネット証券と同様に約定代金の0.495%となっている。
NISA口座 | 無料 |
---|---|
課税口座 | 約定代金の0.495%(上限22米ドル) |
楽天証券の米国株取引では、日本円と米ドルのリアルタイム為替取引手数料が無料であることが特徴だ。
米国株式を購入するには、米ドルが必要となる。
通常、日本円と米ドルを交換するには為替手数料が発生するが、楽天証券のリアルタイム為替取引を使えば手数料無料で日本円と米ドルを両替できる。
米国株式の購入時に自動で日本円を米ドルに両替して取引できる「円貨決済」もあるが、円貨決済を利用すると為替手数料が発生するため、事前にリアルタイム為替取引で日本円を米ドルに両替してから「外貨決済」で取引するのがおすすめだ。
投資信託
楽天証券ではSBI証券やマネックス証券と同じく、手数料無料で投資信託の買い付けができる。
NISA口座 | 無料 |
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課税口座 | 無料 |
買付時にはコストはかからないが、投資信託は保有している間に「信託報酬」、売却時に「信託財産留保額」がそれぞれ発生する。これらの費用は投資信託ごとに定められており、それぞれ楽天証券のサイトにログインすれば確認できる。
\課税口座も投資信託手数料が無料/
ETF(国内、海外)
楽天証券は、NISA口座でも課税口座でも国内ETFを手数料無料で取引できる。
「Exchange Traded Funds」の略称で、証券取引所に上場している投資信託のことを示す。投資信託は1日1回公表される基準価額でしか取引できないのに対して、証券取引所に上場しているETFは価格が常に変動しており、リアルタイムで売買できる。
約定代金や約定回数にかかわらず手数料無料で国内ETFの取引ができるのは、楽天証券とSBI証券のみとなっている。
なお、課税口座での手数料を無料にするには「ゼロコース」の選択か「超割コース」大口優遇の条件を満たす必要がある。
NISA口座 | 無料 |
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課税口座 | 無料(※1) |
また、米国ETFもNISA口座であれば手数料無料で取引できる。
NISA口座 | 無料 |
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課税口座 | 約定代金の0.495%(上限22米ドル) |
課税口座での取引は他の大手ネット証券と同様に約定代金の0.495%の手数料がかかるが、楽天証券指定の15銘柄は買付手数料無料で取引ができる。
買付手数料が無料となる銘柄は、「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)」や「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」、「バンガード・S&P500 ETF(VOO)」など人気の高い銘柄も多い。
買付手数料が無料となる銘柄数の多さは、auカブコム証券、マネックス証券に次いで業界3位となっている。
auカブコム証券 | 30本 |
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マネックス証券 | 21本 |
楽天証券 | 15本 |
SBI証券 | 10本 |
松井証券 | 0本 |
国内ETFや米国ETFを手数料を抑えて取引したい人は、楽天証券での口座開設を検討しよう。
単元未満株
楽天証券は、NISA口座、課税口座にかかわらず単元未満株(かぶミニ®)を手数料無料で取引できる。
国内株を1株(単元未満株)から売買できるサービス。通常の100株/1口単位での取引と比べて少額から株式投資ができる。
NISA口座、課税口座どちらでも売買手数料が無料なのは、楽天証券とSBI証券のみとなっている。
NISA口座 | 無料 |
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課税口座 | 無料 |
また、楽天証券の単元未満株はネット証券で唯一、リアルタイム取引に対応している。
他社の単元未満株では、約定タイミングが1日数回に制限される「寄付取引」となるため、注文から約定までに時間を要することが多い。一方、楽天証券ならリアルタイム取引ができるため、注文後すぐの約定が可能となる。ただし、リアルタイム取引は0.22%の手数料(スプレッド)が発生する。
手数料を抑えて取引したい人は「寄付取引」、短期的な取引で利益を狙いたい人は「リアルタイム取引」を検討しよう。
\2つの取引から選べる/
IPO
楽天証券は、他の大手ネット証券と同様に買付手数料無料でIPO取引ができる。
証券取引所で売買される前の株式のこと。各証券会社が実施する抽選に当選した人だけが買える。上場後に初めて取引が成立した際の「初値」が公募価格を上回る確率が高いことから(2017年〜2020年実績は74%〜91%、平均で8割超)、IPO投資は比較的利益を出しやすい投資といわれている。
また、国内株式の手数料コースを「ゼロコース」にするか「超割コース」で大口優遇の条件を満たせば、売却時も手数料がかからない。
信用取引
楽天証券では国内株式の手数料コースで「ゼロコース」を選択するか「超割コース」で大口優遇の条件を満たせば、信用取引の手数料は無料だ。
現金や株式を担保に、証券会社からお金を借りて行う取引のこと。現物取引と異なり「売り」からも始められ、株価が下落していても利益を狙えるというメリットがある。
約定代金や約定回数などにかかわらず手数料が無料なのは、楽天証券とSBI証券のみだ。
ただし米国株式信用取引の手数料は有料で、他の大手ネット証券同様に約定代金の0.33%となっている。
NISA口座 | 無料(※1) |
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課税口座 | 約定代金の0.33% |
また、信用取引には取引手数料以外にも信用買いで発生する「金利」と信用売りで発生する「貸株料」がある。楽天証券は、SBI証券と同様に低い金利と貸株料で米国株式の信用取引を行える。
証券会社 | 金利(優遇金利) | 貸株料 |
---|---|---|
楽天証券 | 年率2.80%(年率2.28%) | 年率1.10% |
SBI証券 | 年率2.80%(年率2.28%) | 年率1.10% |
マネックス証券 | 年率2.80% | 年率1.15% |
auカブコム証券 | 年率2.98% | 年率1.15% |
松井証券 | 年率3.10% | 年率1.15% |
証券会社 | 金利 | 貸株料 |
---|---|---|
楽天証券 | 基準金利+年率3.5% | 年率2.0% |
SBI証券 | 年率4.5% | 年率2.0% |
マネックス証券 | 年率6.3% | - |
auカブコム証券 | - | - |
松井証券 | 年率6.3%(※1) | - |
コストを抑えて信用取引したい人は、楽天証券での口座開設を検討しよう。
なお、信用取引はNISA口座で取引できない。課税口座のみでの取引となる点には注意しよう。
楽天証券の手数料に関するQ&A
- 楽天証券の手数料コースはどれが初心者におすすめ?
- 楽天証券の国内株式の手数料コースには「ゼロコース」と「いちにち定額コース」、「超割コース」の3つがあるが、初心者には「ゼロコース」がおすすめだ。
「ゼロコース」を選択すると、約定代金や約定回数にかかわらず、国内株式の現物、信用取引手数料が無料となる。
「いちにち定額コース」は、デイトレードで売却、返済手数料が無料となったり、100万円まで無料で取引できるのが魅力だが、100万円を超える取引には手数料が発生する。また、「超割コース」は大口優遇の条件を達成すれば手数料が無料になることに加えて外国株式などの取引手数料に対してポイントが付くためお得だが、大口優遇の条件達成には高額な取引が必要となる。
- 楽天証券は口座の開設手数料や口座維持費が発生する?
- 楽天証券口座は無料で開設でき、口座開設後も維持費は発生しない。取引をしない限り費用はかからない。
- 証券口座から出金する際、振込手数料はかかる?
- 楽天証券では、手数料無料で各金融機関の口座に出金ができる。ただし、米ドルやユーロなどの外貨を出金する際には所定の手数料がかかるため注意しよう。
- 現引、現渡取引に手数料は発生する?
- 楽天証券では、現引、現渡取引の手数料が発生せず、無料で取引できる。信用取引の決済方法として、金融機関から借りた株を買い取って自分のものにする「現引(げんびき)」と、金融機関から借りて売った株を自分で購入した株を使って返す「現渡(げんわたし)」のいずれかを選べる。
- 楽天証券で取引を始める際の注意点は?
- 楽天証券は「ゼロコース」を選ぶことで、国内株式の取引手数料が約定代金や約定回数にかかわらず無料となる。ただし、「ゼロコース」の設定は自分で行う必要があるため注意しよう。設定はこちらからできる。
- 楽天証券なら日経新聞が無料で読める?
- 楽天証券の口座を持っている人は、「日経テレコン(楽天証券版)」を無料で利用できる。「日経テレコン(楽天証券版)」では、日本経済新聞の朝刊、夕刊に加えて日経産業新聞や日経MJなどを閲覧できる。
楽天証券スマホアプリ「iSPEED」やトレーディングツール「マーケットスピード」、「マーケットスピードⅡ」からの利用が可能だ。