NISA口座は一つしかつくれないのは周知の事実。そうなると、どの金融機関でつくればいいのか、あるいは、口座をつくってはみたもののほかの金融機関も試してみたい。そう思い悩む人は多いだろう。
2大ネット証券である楽天証券とSBI証券のどちらかであれば、手数料も安く済み、扱う金融商品の数も多く、投資初心者には安心だ。しかし、例えば「楽天証券でNISA口座をつくったが、楽天カードを持っていないのでポイントのメリットを受けられない」「楽天証券のサービスが自分にあっているかわからないので、別の金融機関に移管したい」という人ならば、SBI証券への乗り換えを検討してもいいだろう。SBI証券のポイントサービスは楽天証券よりも充実しており、ポイントを貯めたい人には有利だからだ。
ちなみにNISA口座の金融商品を「移管」してそのまま継続することはできないので、NISA口座を他の金融機関に移して運用するのは「乗り換え」と言った方が正しい。乗り換え前の金融商品は、NISA口座ではなく通常の証券口座の金融商品と同じ扱いになり、NISAのメリットは受けられないが、決して無駄になることはない。また、乗り換えの手続きには審査期間を含め1カ月程度を要するが、手数料はかからない。
ゆえに自分にフィットする金融機関を求めてNISA口座を乗り換えるのは、まったく問題ない。
本記事では、NISA口座を楽天証券からSBI証券へと乗り換えるやり方を詳しく伝える。メリットや注意点も記してあるので、上記の悩みに当てはまる人は、乗り換えを検討してみてはどうだろう。
また、NISA以外の口座の金融商品は移管して運用できる。SBI証券に移管した場合のポイントサービスのメリットも解説しているので、お見逃しなく!
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目次
楽天証券からSBI証券にNISA口座を乗り換える手順
まず、楽天証券からSBI証券に乗り換えたい人向けにその手順を解説する。
NISA口座を乗り換えること自体は難しくないが、保有している商品の移管はできない点は注意しよう。
SBI証券で口座を開設する
最初にSBI証券で口座を開設しよう。証券会社の口座開設では審査に1営業日程度の時間がかかるため、事前にSBI証券の口座開設をしておくと手続きを効率的に進められる。
なお、楽天証券と比較してSBI証券はクレカ積立のポイント付与率の上限が高い点やIPO投資の取扱数が多くチャンスが広がる点などでメリットがある。
ポイントを多く貯めたい場合や、IPO投資に興味がある場合はSBI証券に乗り換えをおすすめする。
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楽天証券で「勘定廃止通知書」を発行する
SBI証券の口座開設をした後は、楽天証券からSBI証券にNISA口座を乗り換えるために、楽天証券で「勘定廃止通知書」を発行する。
- 楽天証券にログインする
- メニューの中の「NISA」をクリックする
- メニューバーの「口座サマリー」の隣にある「・・・」をクリックする
- 「NISA・つみたてNISA申込状況」に進み、「他の金融機関へNISA口座を移す」をクリックして申し込む
1.楽天証券にログインする
2.メニューの中の「NISA」をクリックする
3.メニューバーの「口座サマリー」の隣にある「・・・」をクリックする
4.「NISA・つみたてNISA申込状況」に進み、「他の金融機関へNISA口座を移す」をクリックして申し込む
SBI証券に「非課税口座開設届出書」を請求する
楽天証券で「勘定廃止通知書」を発行したら、次はSBI証券に「非課税口座開設届出書」を請求しよう。
- SBI証券にログインする
- NISAトップページを開く
- 「他社からの乗り換え(NISA口座金融機関変更)※要ログイン」をクリックする
- 書類を請求(書類の到着まで5日程度かかる)
1.SBI証券にログインする
まずはSBI証券の公式サイトにログインしよう。
2.NISAトップページを開く
次にNISAのトップページを開く。ログインすると以下のページになるので、右上のハンバーガーメニュー(3本の横線が並ぶアイコン)をクリックしよう。
そこから、「口座開設状況」を開き、「NISA」を選択する。
3.「他社からの乗り換え(NISA口座金融機関変更)※要ログイン」をクリックする
ページが開くと、「他社からの乗り換え(NISA口座金融機関変更)※要ログイン」のボタンを選択できるため、クリックする。
4.書類を請求(書類の到着まで5日程度かかる)
画面が切り替わると、確認画面が出現するので「書類請求を申し込む」ボタンを押す。「非課税口座開設届出書」の発行請求はこれで完了だ。
SBI証券に必要書類を返送する
必要書類が届いたら、以下の3点をSBI証券に返送しよう。
- 楽天証券から届いた「勘定廃止通知書」
- SBI証券から届いた「非課税口座開設届出書」(届いた書類に名前を記入するだけでOK)
- 本人確認書類およびマイナンバーを確認できる個人番号記載書類
※ 提出書類はSBI証券への「マイナンバー」の届出状況によって変わる。既にマイナンバーを提出済みの場合は、「運転免許証」「保険証」などのいずれか一点のコピー、未提出の場合は「個人番号カード」または「通知カード+本人確認書類」のコピーの提出が必要になる。
SBI証券と税務署で書類の審査後、NISA口座の乗り換え手続き完了
提出した書類はSBI証券と税務署で審査され、審査が完了するとSBI証券のWEBサイトにログインすると見られる「重要なお知らせ」やメールで口座開設完了の連絡が届く。
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楽天証券からSBI証券に乗り換えるデメリット
NISA口座や一般の証券口座を移す場合には、以下の注意点がある。制度をよく知らないまま手続きすると、思ったように取引ができなくなる可能性があるので気を付けよう。
NISA口座の場合は保有銘柄を移管できない
繰り返し述べてきたようにNISA口座の乗り換えでは、保有している金融商品を新たな金融機関のNISA口座に移管はできない点も注意しよう。
その場合は、乗り換え前の金融機関の証券口座(課税口座)に移管されることになる。
乗り換え先のSBI証券のNISA口座で銘柄を保有する場合は、仮に同じ銘柄であっても新たに購入しなおす必要があるので、購入時の金額によっては割高になったり、これまでの福利効果や長期間で期待できる利益を損失したりする可能性もある。
乗り換え手続きには数週間程度かかることがある
NISA口座の乗り換えにしても一般の証券口座の移管にしても、その手続きには時間がかかる点に注意しよう。
口座を変更するには、楽天証券とSBI証券の両方に申請が必要で、最低でも数週間〜1カ月ほど必要だ。
口座の変更手続きを始めてから終わるまでは新規取引はできないため、もし投資機会があったとしても逃してしまう可能性がある。口座の変更は、タイミングを慎重に考えよう。
楽天証券からSBI証券に乗り換えると、こんなメリットが!
上記のような注意点を理解しつつ、NISA口座や一般口座を楽天証券からSBI証券への移したいという人には、耳よりの情報がある。SBI証券は楽天証券に比べて、クレカ積み立てやポイントサービスでは確実にメリットがあるのだ。それらを解説していく。
クレカ積立でポイントが貯まる
SBI証券では、三井住友カードで投資信託の積立購入をすると、0.5%〜5.0%のポイントが付与される(2024年11月買付分以降は年間カード利用額によって0.0%〜3.0%)。
年会費無料のカードの付与率はSBI証券も楽天証券も同じ0.5%だが、ゴールドカードやプラチナカードではSBI証券の方が付与率が高い。ポイント付与率を重視する場合はSBI証券を選ぼう。
なお、SBI証券のクレカ積立でもらえるのは三井住友カードのVポイントだ。
カードの種類 | ポイント付与率※ |
---|---|
三井住友カード(NL) Oliveフレキシブルペイ |
0.5% |
三井住友カード ゴールド(NL) Oliveフレキシブルペイ ゴールド |
1.0% |
三井住友カード プラチナ | 2.0% |
三井住友カード プラチナプリファード Oliveフレキシブルペイ プラチナプリファード |
5.0% |
ここでは、実際にどのくらいポイントが貯まるのか紹介する。
例えば、三井住友カード(NL)かOliveフレキシブルペイで月3万円ずつ積立投資をした場合に貯まるポイントは、以下のとおりだ。
10年後 | 20年後 | 30年後 | |
---|---|---|---|
貯まるポイント | 18,000円 | 36,000円 | 54,000円 |
なお、2024年11月1日(金)買付分からのポイント付与率が変更されると発表された。
年間利用額(クレカ積立分を除く)によってポイント付与率が変わる点や、年間最大付与ポイントに上限がある点に注意が必要だが、ゴールドカードやプラチナカードでは引き続き楽天証券よりもSBI証券の方がポイントが貯まりやすくなっている。
カードの種類 | ポイント付与率 | 年間最大付与ポイント |
---|---|---|
三井住友カード(NL) Oliveフレキシブルペイ |
年間カード利用額10万円以上:0.5% 年間カード利用額10万円未満:0.0% |
6,000ポイント |
三井住友カード ゴールド(NL) Oliveフレキシブルペイ ゴールド |
年間カード利用額100万円以上:1% 年間カード利用額10万円以上:0.75% 年間カード利用額10万円未満:0.0% |
12,000ポイント |
三井住友カード プラチナ | 年間カード利用額300万円以上:2% 年間カード利用額300万円未満:1% |
24,000ポイント |
三井住友カード プラチナプリファード Oliveフレキシブルペイ プラチナプリファード |
年間カード利用額500万円以上:3% 年間カード利用額300万円以上:2% 年間カード利用額300万円未満:1% |
36,000ポイント |
なお、楽天証券で貯まるポイントは以下の通りだ。
年会費無料のカードはポイント付与率が同じだが、ゴールドカード以上のランクのカードではSBI証券で三井住友カードを使ったクレカ積立を行う場合の方が高い付与率だ。
カードの種類 | ポイント付与率 |
---|---|
楽天カード | 0.5% |
楽天ゴールドカード | 0.75% |
楽天プレミアムカード | 1.0% |
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投信マイレージでポイントがさらに貯まる
SBI証券には、投資信託の保有残高に応じてポイントが付与される「投信マイレージ」がある。
楽天証券でも投信マイレージと同様の「投信残高ポイントプログラム」が用意されているが、対象銘柄は2024年4月現在6銘柄に限られているため、SBI証券のサービスの方が優れているといえるだろう。
さらに、楽天証券では楽天ポイントしか貯めるポイントを選択できないが、SBI証券の投信マイレージで貯まるポイントは以下の5種類から選べる。
- Vポイント(Tポイント)
- Pontaポイント
- dポイント
- JALのマイル
- PayPayポイント
この「投信マイレージ」では、通常銘柄は月間平均保有金額の最大0.2%、SBIプレミアムチョイス銘柄は最大0.25%、その他指定銘柄は銘柄に応じたポイントが付与される。
信託報酬の低いファンドでも一定のポイント付与が受けられるので、積極的に活用しよう。
三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(以下、オルカン)を月3万円積み立てた場合でシミュレーションすると、貯まるポイントは以下の通りだ。
10年後 | 20年後 | 30年後 | |
---|---|---|---|
合計資産額 | 5,841,616円 | 20,318,470円 | 56,195,410円 |
貯まるポイント | 4,241円 | 25,076円 | 87,017円 |
オルカンの年平均リターンを9.5%として算出した場合、30年後には投信マイレージで9万円近くポイントを受け取れる。
もし年平均リターンが5%程度まで落ちた場合でも約5万円は獲得できる仕組みだ。
銘柄を保有しているだけでポイントが貯まる非常にお得なサービスであるため、積極的に利用しよう。
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圧倒的なIPO取扱数で、チャンスが広がる
SBI証券は、業界トップの圧倒的なIPO取扱数を誇るため当選のチャンスが広がる。事実、2023年の国内IPO企業96社のうちSBI証券は91社とほぼ全て取り扱っている。
IPO投資の最大のメリットは、成長性の見込まれる企業の株式を上場段階で購入できることだ。
IPO株は初値が公募価格を上回る可能性が高く、リターンを得やすい投資手法として人気だ。
もちろん、公募価格を下回る可能性があるが、2023年度の実績を見ると、78%という高い確率で初値が公募価格を上回っている。
IPO投資は、競争率が高く抽選に当たる確率が低いことが欠点だが、SBI証券では「IPOチャレンジポイント」という、抽選に外れた回数に応じてポイントが加算される独自の制度があり、繰り返し申し込むことで当選確率を高められる。
楽天証券のNISA口座でもIPO株は購入できるが、2023年の取扱銘柄数は61件とSBI証券の91件と比較して少なくなっている。
IPO投資を始めたい人は、IPO取扱数が圧倒的なSBI証券で口座開設をしよう。
移管手数料がキャッシュバックされる
NISA口座では投資信託を変更先の口座に移すことはできないが、総合口座であれば投資信託や米国株を移管でき、その際の手数料はキャッシュバックされる。
例えば、SBI証券の「投信お引越しプログラム」に申し込むと、楽天証券から移管する際にかかった出庫手数料が、SBI証券から全額キャッシュバックされる。
同様に「米国株式移管入庫手数料まるっとおまかせプログラム!」では、米国株式の移管手数料をSBI証券が負担してくれるため、実質無料で米国株式の入庫が可能だ。
楽天証券からSBI証券への口座商品の移管に関するよくある質問
- NISA口座内の投資信託も移管できる?
- NISA口座の投資信託を他の証券会社に移管することはできない。
そのまま楽天証券で運用する場合、非課税期間中に売却すれば、利益は非課税となる。なお、NISA口座で購入した投資信託を特定口座や一般口座に移管した後で、SBI証券の特定口座や一般口座に移管することは可能だ。
- 楽天証券からSBI証券に投資信託や株を移管するときの手数料は?
- 楽天証券からSBI証券に投資信託や株を移管するときにかかる手数料は以下の通りだ。
- 投資信託 楽天証券の出庫手数料は1銘柄につき3,300円、SBI証券の入庫手数料は無料
- 日本株 楽天証券の出庫手数料、SBI証券の入庫手数料ともに無料
- 米国株 楽天証券の出庫手数料、SBI証券の入庫手数料ともに無料
投資信託のみ移管する際に手数料がかかるが、SBI証券への移管では「投信お引越しプログラム」というキャッシュバック制度を利用でき、実質手数料無料で移管できる。
- 楽天証券からSBI証券のNISA口座への投資信託の移管にかかる時間は?
- そもそもNISA口座の商品は移管できない。NISA口座自体の乗り換えには、通常2週間程度かかる。
なお、これはSBI証券に「非課税口座開設届出書」を郵送してからかかる時間だ。申し込みのタイミングや証券会社側の都合等によって、最大1か月程度時間が伸びる可能性がある。