マネーブリッジは楽天証券と楽天銀行の口座を連携させることで、資金移動をよりスムーズに行えるようにする便利なサービスだ。マネーブリッジを設定すると、両口座間の自動入出金(スイープ)機能の利用や優遇金利の適用など、多くのメリットを享受できる。
それらのメリットが目立つほど、「逆に何かしらのデメリットがあるんじゃないか」と不安になってしまうのが人間心理ではないだろうか。
そこで、今回は「楽天証券のマネーブリッジにデメリットはないのか?」について解説していく。
目次
楽天証券でマネーブリッジを設定するデメリット(注意点)
楽天証券と楽天銀行の口座を連携できる「マネーブリッジ」には特段デメリットがないというのが結論だ。
そもそも「マネーブリッジ」とは楽天証券と楽天銀行の両口座を連携させるサービスのこと。この「マネーブリッジ」を設定するだけで優遇金利などのお得なサービスが提供されるので、連携させるメリットはあってもデメリットはない。むしろ、せっかく楽天証券と楽天銀行の両口座を保有しているのであれば連携させないと損というものだ。
そして、同様のサービスはSBI証券や松井証券、auカブコム証券などにもあるので、大手のネット証券会社としてはもはや一般的なサービスといってもいいだろう。聞き慣れないからといって不安になる必要もない。
強いてあげるなら、デメリットではなく注意点だ。ここでは、マネーブリッジの設定を考えている人に向けて、2点の注意点を紹介する。
注意点1. 楽天銀行に投資資金を預け入れておく必要がある
楽天証券のマネーブリッジの注意点の1つが、楽天銀行に資金を残しておく必要があることだ。
マネーブリッジを設定すると、楽天証券での投資用資金として楽天銀行の預金が自動的に利用される。そのため、楽天銀行の口座に生活費や引き落としなどに必要な資金を残しておかないと、残高不足で引き落としができなくなる。
特に、楽天銀行をメインバンクとして利用していない場合は、投資資金の入金を忘れないように注意が必要だ。
注意点2. 優遇金利が引き下げられる可能性がある
楽天証券のマネーブリッジの注意点として、「優遇金利が引き下げられる可能性」が挙げられる。
マネーブリッジを利用すると、普通預金金利に0.18%の優遇金利が適用されるが、この条件が楽天銀行の今後の運営方針によっては”改悪”されてしまう可能性があるということだ。
実際に過去には金利の引き下げが行われた事例がある。例えば、2022年3月31日までは普通預金残高にかかわらず一律で年0.10%(税引後年 0.079%)の優遇金利が適用されていた。しかし、2022年4月1日以降、普通預金残高が300万円を超える部分については、優遇金利が年0.04%(税引後年0.031%)に引き下げられた。
このような過去の事例からも、将来的に優遇金利が改悪されてしまう可能性は否定できない。
楽天証券のマネーブリッジのメリット
楽天証券のマネーブリッジには、投資や日常の資金管理をより効率的に行えるサービスがそろっている。楽天証券の他の決済方法と比較した場合、マネーブリッジを利用するメリットとして挙げられるのは主に以下の3つである。
ハッピープログラムで楽天ポイント獲得倍率アップなどの特典を受けられる
マネーブリッジの1つ目のメリットは、楽天ポイント獲得倍率アップなどさまざまな特典を受けられる点だ。
マネーブリッジを設定し、楽天銀行のポイントプログラム「ハッピープログラム」にエントリーすると、残高や取引件数(振込・入金、支払い、楽天Edy・楽天ウォレットへのチャージなどの件数)に応じて会員ステージが上がり特典を受けられるようになる。
会員ステージには「スーパーVIP」「VIP」「プレミアム」「アドバンスト」「ベーシック」の5種類の会員ステージが設けられており、ステージが上がるごとに楽天ポイントの獲得倍率やATM手数料・他行振込手数料の無料回数が増加する。
| 会員ステージ | 会員条件※ | 楽天ポイント 獲得倍率 |
ATM手数料 無料回数 |
他行振込 手数料 無料回数 |
|---|---|---|---|---|
| スーパーVIP | 残高300万円以上 または取引30件以上 |
3倍 | 7回/月 | 3回/月 |
| VIP | 残高100万円以上 または取引20件以上 |
3倍 | 5回/月 | 3回/月 |
| プレミアム | 残高50万円以上 または取引10件以上 |
2倍 | 2回/月 | 2回/月 |
| アドバンスト | 残高10万円以上 または取引5件以上 |
1倍 | 1回/月 | 1回/月 |
| ベーシック | エントリーする | 1倍 | ー |
「毎月25日終了時点の預かり資産残高が100万円以上」もしくは「前月26日〜毎月25日の対象商品・サービスの取引件数30件以上」で会員になることのできるVIPステージを例に取る。
VIPステージでは楽天ポイントの獲得倍率が最大3倍に向上し、ATM手数料が月5回まで無料、他行振込手数料が月3回まで無料となる。
このように、マネーブリッジとハッピープログラムを併用することで、楽天ポイントを効率的に貯め、楽天グループのサービスをより一層お得に利用できるようになる。マネーブリッジを設定する際にはハッピープログラムへのエントリーも検討しよう。
普通預金金利に優遇金利が適用される
楽天証券のマネーブリッジのもう1つのメリットは、普通預金金利に優遇金利が適用される点だ。
楽天銀行の普通預金の金利は通常年0.10%(税引後年0.079%)だが、マネーブリッジを利用すると、普通預金残高300万円以下で年0.18%、300万円を超える部分で年0.12%(いずれも税引前)の優遇金利が適応される。これは、通常の1.8倍以上の優遇金利であり、楽天銀行の口座を活用する人にとっては大きな利点といえる。
例えば、楽天銀行の普通預金口座に500万円を預けた場合、300万円部分に利息4,290円(0.143%適用分)と、200万円部分に利息1,900円(0.095%適用分)が合算され、年間の利息は6,190円となる。
| 普通預金 | マネーブリッジ登録あり |
|---|---|
| 3,950円 | 6,190円 |
このように、マネーブリッジを利用することで、通常よりも高い金利で預金を運用することが可能となる。
保証金不足時に自動で送金できる
楽天証券のマネーブリッジの3つ目のメリットは、楽天証券の口座内で取引に必要な資金が不足した時に自動で送金できる点だ。
万一市況の急な変動などによって追加保証金や不足金が発生した場合でも、マネーブリッジによる自動振替機能が迅速に対応し、資金不足による意図しない取引停止を防ぐことができる。また、入出金の都度ログインする必要もないため手間もかからない。
自動振替に手数料は発生しないため、すぐに取引で使わない資金は楽天銀行に預け入れておき、優遇金利で運用しておくとよいだろう。
楽天証券のマネーブリッジの自動入出金(スイープ)機能は怖い?解除できる?
楽天証券のマネーブリッジの自動入出金機能は便利である一方、自動で資金が移動することに「怖い」「解除できるか不安」と感じる人もいるかもしれない。
自動入出金機能は容易に解除でき、さらにあらかじめ口座に留保しておきたい金額を設定できるため、過度な心配は不要だ。
例えば、株式取引に必要な金額として100万円を証券口座に残しておき、自動入金時に楽天銀行の口座に200万円残しておく、といった設定ができる。
自動入出金設定を解除することもでき、楽天銀行のウェブサイトにログイン後、「マネーブリッジ」メニューから自動入出金(スイープ)の設定画面に進み、「変更する<設定しない(解除する)」を選択すると機能を停止できる。
自動で資金が移動してしまうことで、資金管理が複雑にならないか不安を感じる場合は、機能を停止してハッピープログラムや優遇金利といったメリットのみ享受するのもよいだろう。
楽天証券のマネーブリッジの申込方法
楽天証券のマネーブリッジを利用するためには、以下2つの手続きが必要となる。
楽天証券と楽天銀行の口座を開設する
マネーブリッジを利用するためには、楽天証券と楽天銀行の両方の口座が必要となるため、事前に2つの口座を開設しておく必要がある。
楽天証券と楽天銀行の口座を両方とも開設していない場合は、楽天証券の公式サイトから同時開設することが可能だ。
楽天証券口座のみを開設していない場合は、楽天証券の「楽天銀行口座開設+自動入出金設定でもれなく現金プレゼント!」キャンペーンを利用してお得に口座開設しよう。
また、楽天銀行口座のみを開設していない場合は、楽天銀行の「楽天証券の口座開設・マネーブリッジ登録&条件達成で現金最大2,000円プレゼント」キャンペーンを利用すると上記のキャンペーンと同じく最大2,000円を受け取ってお得に口座開設できる。
マネーブリッジに登録する
マネーブリッジへの登録は、楽天銀行のスマホアプリからが便利だ。画面上部のメニューから「マネーブリッジ(楽天証券連携)」を選択すると、マネーブリッジの申込み画面に遷移する。
「マネーブリッジを申込む」というボタンをクリックし、その後は画面の指示に従って登録手続きを進めていけば完了だ。画面の案内に従って操作すると数分で登録が完了する。
楽天証券のマネーブリッジに関するよくある質問
- マネーブリッジは楽天カード決済と併用できる?
マネーブリッジは「楽天カードクレジット決済」や「楽天キャッシュ決済」との併用も可能だ。楽天カード決済では積立金額に応じたポイントが還元されるため、組み合わせることでよりお得にポイントを貯められる。
- マネーブリッジの解除方法は?
楽天証券にログイン後、「マイメニュー」から「マネーブリッジ」をクリックし、解除を選択することでマネーブリッジの設定を解除できる。また、楽天銀行の画面からも解除が可能だ。詳しくは「楽天証券のマネーブリッジの自動入出金(スイープ)機能は怖い?解除できる?」で解説している。
- マネーブリッジを利用する際に手数料はかかる?
マネーブリッジは手数料無料で利用できる。楽天銀行の預金残高から不足資金を自動的に入金する「自動入金(スイープ)」機能のほか、口座開設や口座管理費なども一切かからない。