肝臓以外でも、内臓脂肪が多くなると炎症物質は発生するので、内臓脂肪が多い人は慢性的に炎症が全身で起こっている状態になります。

簡単にまとめると、内臓脂肪が多いと、体内が傷つけられ続けているのに、それを修復してくれる道具も不足しているような悲惨な状態になってしまうのです。

そんな状態が続けば当然、さまざまな臓器や器官に不調が現れ、さらに深刻な病気を引き起こすことへとつながります。

内臓脂肪は雪だるま式に増えていく

肝臓の働きが悪くなると、やせるうえで重要な「基礎代謝」の低下が起き、さらにやせにくくなっていきます。

基礎代謝とは、体温の維持や、内臓の稼働、神経の伝達など生命維持のために体が自発的に行うエネルギー消費のことで、その1日の消費エネルギー量は代謝全体の約60%といわれています。

そして、肝臓は基礎代謝のうち実に約30%もの割合を占めているのです。

つまり内臓脂肪によって肝臓の機能が低下すると、肝臓が働くために使うエネルギーも減る。結果、エネルギーを消費しない、やせにくい体になってしまい、さらに太るという肥満スパイラルにおちいり、一度太ると肥満が加速してしまうのです。

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このように、内臓脂肪を放置しておくことによるデメリットはあまりにも大きく、大げさではなく命の危機にもつながる恐ろしい事態にもなりかねません。

ラクに、健康的に内臓脂肪を減らす方法

では、どうやって、体を蝕み続けるこの憎むべき内臓脂肪を取り除けばいいのでしょうか。できるだけラクに、そして健康的に、一瞬ではなく永遠に内臓脂肪とサヨナラするためには、①「脂肪燃焼体質になる」ことと②「血糖値を安定させる」ことの2つのポイントがあります。本稿は①「脂肪燃焼体質になる」に絞ってご紹介していきます。

「脂肪燃焼体質になる」とはどういうことか。それについて理解するには「代謝のメカニズム」について知っておく必要があります。

長い間、人間が活動するうえで筋肉や内臓を動かすエネルギー源は主にブドウ糖(糖質)だと思われてきました。さらに、「脳がエネルギー源とできるのはブドウ糖だけ」という定説も長い間ずっと信じられ続けていたことは、知っている人も多いことでしょう。

しかし、近年の医学研究が進むにつれ、人間のエネルギー源は糖質だけではなく、脂肪を分解してできる、「ケトン体」という代謝産物によっても得られることがわかってきています。

お米やパンなどはすぐにエネルギーになるイメージがあるので、炭水化物(糖質)を摂らないと生きていけないと思っている人は多いと思います。しかし、実際に数日間ダイエットのために炭水化物を抜いても、死んでしまう人はほとんどいません。

それは、体内の糖質が不足して飢餓状態に陥ったら、肝臓が摂取した脂肪やタンパク質、また体に蓄えられた脂肪から「ケトン体」という物質を生成して、糖質に代わるエネルギー源に変えるためです。