バイト敬語②:「ほう」
➡「コーヒーか紅茶かどちらかを持ってきてほしい」と言われたのであれば正しい言い方ですが、そうでなければ、「コーヒーをお持ちしました」と言うべきです。
こう言っている人の心理状態を分析すれば、つぎのようになるでしょう。「コーヒーをお持ちしました」では、あまりに直接的で押しつけがましく、まるで、嫌がる相手にコーヒーカップを押しつけているような気がします。
そこで、「ほう」というオブラート(ショックアブソーバー)で包んでいるのです。「なります」と同じように、曖昧な表現で責任回避をしようとしているのです。
ショックアブソーバーとしての「ほう」に対する信頼は絶大であり、さまざまなところで使われます。
学校では教えてくれないこと
「バイト敬語」としては、以上のほかに、つぎのようなものもあります。カッコ内が正しい表現です。
「ご注文は○○でよろしかったでしょうか?」(ご注文は○○でよろしいでしょうか?)。過去形でなく、現在形で言う必要があります。
「レシートのお返しです」(レシートです)。レシートは返すものではなく、店が発行して客に渡すものです。
「コーヒーと紅茶の、どちらにいたしますか?」(コーヒーと紅茶の、どちらになさいますか?)。「いたします」という謙譲語を、相手の行為に使ってはいけません。間違いであるだけでなく、失礼な言い方です。
「どうかいたしましたか?」(どうかなさいましたか?)。これも、謙譲語を相手の行為に使っています。
バイト敬語を使っているのは、若い年齢の人たちです。こうした言葉使いは間違いだと、学校で教えてほしいものです。