糖尿病の場合は、なんらかの原因でインスリンがつくられなくなり、その結果、血液中のブドウ糖の量が増えます。この血糖値が上がった状態が続くと、疲労感がとれなかったり、のどの渇きが頻繁になったりし、最終的には合併症(神経障害、網膜症、腎症)を起こします。また、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞の危険性も高くなります。そのため、クスリと食生活は非常に大事なのです。

急に足に力が入らなくなる

ただ、糖尿病が怖いのは、高血糖ではなく低血糖です。低血糖になると、冷や汗をかいたり、目がかすんだりして集中力がなくなり、最後には言葉が出にくくなったり、呂律(ろれつ)が回らなくなったりします。意識を失い倒れる場合もあります。

低血糖が怖いというのは医者としての常識で、糖尿病患者さんにクスリを処方するとき、「下がりすぎたら危険ですので十分注意してください」と言うことになっています。しかし、そうは言っても医者自身はマニュアルに沿って言っているだけで、低血糖になると、実際にどうなるかはわかっていないのです。

それが本当にわかったのは、2015年5月に低血糖の症状を実際に体験してからです。前記したように、私は自分の体調と食事を常に手帳にメモしているのですが、それで確認すると、午後2時ごろ、なにか嫌な感じがし、気持ちが悪くなりました。うまく説明できないのですが、日頃しゃべるのが大好きな私がしゃべるのさえ嫌になりました。

このとき、私が思ったのは、糖尿病患者さんがよく言う「低血糖というのはこれなのか」です。それで、あわててチョコレートやクッキーなどを食べました。糖分を摂るためです。そうして、1時間ほどで回復しました。

これと同じことが、2016年1月7日の午後7時ごろにも起こりました。このときは風呂に入ろうとして、足に力が入らなくなったのです。足を踏み出そうとするのですが、踏み出せないのです。

私は急いで簡易測定器で空腹時血糖値を測りました。すると、35mg/dlと出たので、このときもあわててチョコレートやクッキーなどを食べました。すると、約1時半後、血糖値は196mg/dlまで回復しました(正常値は80~130mg/dl)。もしなにもしなかったら、そのまま意識を失ったかもしれず、かなり危なかったわけです。

糖尿病専門医は、「エクアをSU剤と併用するときは低血糖に注意してください」と言い、このことは医学書にも書かれています。私の症状はまさにそれでした。糖尿病患者さんは、よく私と同じような症状を訴えます。しかし、その症状を聞いても医者に同じ体験がないと、医者自身は的確な判断と指示ができません。