「自分を疑うに足りる相当な理由」を逆質問してみよう
所持品検査についても同様に、特別の事情がある場合には有形力の行使が認められている。たとえば過去の判例で、近くで銀行強盗事件が発生した際、警察官が不審に感じた人物に職務質問し、承諾を得ずにバッグを開けた。その中から大量の札束を発見し強盗の逮捕につながったというケースの場合、その行為は適法とされた。もちろん有形力の行使が無制限に認められるわけではない。警察官が勝手にスーツの内ポケットに手を入れて覚せい剤を見つけたケースは違法捜査とされた。承諾なしの所持品検査が認められるかどうかは、必要性や緊急性、プライバシー侵害の度合い次第。
ちなみに護身用であってもナイフを持ち歩くと違法となることがある。大きさは関係ない。刃の長さが6センチ以上の刃物を持ち歩けば銃刀法違反だが、それ以下の小さなものでも軽犯罪法に違反する恐れがある。ほかにはマイナスドライバーもピッキングの道具と疑われやすく、正当な理由なく鞄に入れて持ち運ぶのはやめるべきだ。
警察官に声をかけられたら、まずこれが職務質問なのかどうかを確認し、「自分を疑うに足りる相当な理由」を逆質問してみよう。たいした根拠がなければ、警察官は無理強いしてこない。逆にそれなりの理由があれば、抵抗するだけ時間のムダ。潔く協力して嫌疑を晴らしたほうが賢明だ。警察官への冷静な対応が自分を助けることは間違いない。
▼警察官には触れない・反論しない・協力する
警官:こんばんは。近くで空き巣事件が頻発しておりまして、夜間防犯パトロールを行っております。少しお時間よろしいでしょうか。
市民:すみません。ちょっと急いでいるので……。
警官:深夜に出歩かれている方、みなさんにご協力いただいています。身分証と鞄の中身を確認させていただいてもよろしいですか。
市民:そこのコンビニで買い物してただけです。協力する義務はありません!これで失礼します。(警察官を押しのける)
警官:待て! 公務執行妨害だ! 不審者発見! 至急応援をお願いします!
市民:そんな~~!!