個人的なやりがいと、パブリックなやりがい
昨今SNSには、ラクして儲けるとか、誰の見た目がいいとか、単純な価値観に基づく情報ばかりがあふれていますよね。
それがくだらないことだとは言いませんが、みなそうした“表面”に縛られすぎていて、息苦しい思いをしているのではないか。社会問題になっている高額の報酬をうたう「闇バイト」などは、その端的な実例のように思えてなりません。
本来、仕事というものは甘くない。ラクして儲けられる仕事はない。そもそも儲けられる仕事=価値ある仕事では必ずしもない。何の職業にしても、社会的に意味のある仕事をして、その結果、お金が入ってくるということのほうが、お金儲けそれ自体を目的とするよりも、やりがいも増して、自分自身の能力もグンと高まると強く考えます。
もちろん個人的なやりがいも大事ですが、パブリックなやりがい、そういうものがあったほうがメンタル的にも強く、楽しく働けるのではないでしょうか。
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『孤独を生きる』(PHP新書)、『50歳からの孤独入門』(朝日新書)、『孤独のチカラ』(新潮文庫)、『友だちってひつようなの?』(PHP研究所)、『友だちって何だろう?』(誠文堂新光社)、『リア王症候群にならない 脱!不機嫌オヤジ』(徳間書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。