社会に出れば序列から逃れられない
そもそも、社会に出れば間違いなく序列というのはつけられるもの。それがないうちは仲間同士でも「自分のほうが上や」とぶつかったりして、いろいろなトラブルが起こります。
そこから序列がハッキリしてくると、「あぁ、あの子はあれが得意なんだ。でもこの部分では自分のほうが上だな」などと、そうやって現状を冷静に受け入れ、お互いを認め合えるようになるのです。
みんなで一緒にゴールテープを切ったところで、ただ傷つくことを避けているだけ。子どもたちは何も認め合えず、しかも最初からルールのように決まっているわけですから、それによって人を思いやる優しさが芽生えるとも思えません。
それならば、むしろ「アイツに負けた」という劣等感を抱くほうがいいでしょう。そういう経験を早いうちにしておくと、失敗や挫折に対しても打たれ強くなります。
「負けたくない」という気持ちが重要
また、決して序列の上のほうにいる子だけが立派に育つわけではありません。下のほうになったことで逆に「負けたくない」と感じ、その気持ちが原動力となってどんどん成長していったケースもたくさん見てきました。
ただ、子どもたちに対して、大人が無理やり「悔しがれ」と感情を押しつけるような指導は上手くいきません。「悔しかったら、これをやれ。もっと練習しろ」と煽るようなやり方では、今の子どもたちには伝わらないと思います。「なにくそ」と思わせようとすることは逆効果です。
それよりも重要なのは「序列をつけられた後にどう考えるか」です。
たとえばピアノの発表会などにしても、ただみんなの前で全員が演奏して終わるだけでなく、審査があったほうがレベルは上がると思います。そして金賞を獲った人などを目の当たりにしたら、周りは刺激を受けてレベルがもっと引き上げられていくでしょう。
そういうことが大事だと思うからこそ、私はあえて序列をつけるのです。