「思秋期」に起こりやすい体の変調

2 ホルモンバランスの変化とその影響

ホルモンバランスの変化は、とくに中高年以降に顕著になります。

中高年から老人へと移り変わっていくこの期間を私は“思秋期”と呼んでいます。この時期に差しかかると、ホルモンの分泌量が徐々に減少し、体の調子が変わり始めます。

このホルモンバランスの変化は、たんに体の衰えをもたらすだけでなく、精神面にも大きな影響を与えます。とくに男性の場合、男性ホルモンであるテストステロンの減少が、体力や意欲の低下、さらには感情の不安定さを引き起こす原因となります。

もし「最近ゴルフの飛距離が出なくなった」「記憶力が低下している」などと感じたら、それは男性ホルモンの不足が関係しているかもしれません。その場合、泌尿器科で男性ホルモン補充療法を受けることが有効です。

定期的なホルモン補充は、体力の回復と意欲の向上につながります。

テストステロン
写真=iStock.com/relif
※写真はイメージです
3 セロトニンの減少とうつのリスク

セロトニンは“幸せホルモン”とも呼ばれ、気分を安定させる役割を担っています。加齢とともにこのセロトニンの分泌量が減少し、うつ病を発症しやすくなります。

うつ病にかかると、前頭葉の機能がいっそう低下し、意欲の低下に拍車がかかります。この負の連鎖を防ぐには、適度な運動やリラクゼーション、良質な睡眠が欠かせません。

また、気分が落ち込んだり不安感が強まったりした場合は、心療内科を早めに受診するようお勧めします。