証券会社さえつぶれることもある

ただし、こういうことはある。

もし株式投資をするのであれば、どの分野が伸びていくのか、どの会社が筋のいい会社なのかを、日ごろからよくよく研究しておいて、その会社の株を一発買いする。そして売らずに持っている。それしかないと思います。

証券会社の言いなりになってはいけません。リスク分散をするためには、投資先も分散する、それはセオリーではあっても、そのためには、広く世界を見渡す眼力がなくてはなりません。また知識も必要でしょう。

さあ、そうなると、日々の暮らしに汲々きゅうきゅうとしている私どもが、仕事そっちのけにして投資先の研究なんかしていられません。そこで、証券会社に任せるということになるんですが、証券会社だって常に儲かるわけでない。山一証券のように、大手でもつぶれてしまうこともある。プロのマネージャーがやっていた筈の公的資金運用なども、まったく大損をしたりしている、まあ、疑い出せば切りがないのです。

自分のお金を人任せにするのが間違い

投資というものはそういうものです。だから、投資を人任せにすることが、もう間違っている。リスクを予想して対応できるよう備えるためにいろいろ分散していると言うけれど、でも、大恐慌のようなものが起こったら全てアウトです。

誰だか知らない投資マネージャーみたいな人に自分のお金を任せていて、「あなた、誰に任せているのだ?」と聞いても、誰も知らない。全く知りもしない人に、自分のお金を任せてよいのでしょうか。

現金は、少なくともこの数十年の日本のように、全体としてデフレ的であった社会では、もっとも安全であり、便利でした。それを、政府は、インフレのほうに持っていこうとしている。そうなると、みんな焦って投資をしてインフレヘッジをしなくちゃ、と思う……というか思わせられるのだけれど、さてどうでしょうか。政府のいうことはそんなに無条件に信じていいものとも思えません。

なんでも現金をやめさせて、金融商品に手を出させようとする。しかも、なんでもオンラインで進めさせるような、この行き方というのは日本の国家体制としてすごく危ないことではないかと思うのです。

スマートフォンでQR決済をする手元
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