子どもがプレッシャーでつぶれそうになっていたら…
第一志望校のことを「憧れの学校」と表現することがあります。「憧れること」は大事ですが、「自分の手が届かないくらいにはるかにすごい学校」という印象が子どもにつきすぎないように、気をつけていきましょう。もしもうまくいかなかったときに、「どうせ憧れだったから」などと自分自身に言い訳をしてしまうのは残念なことです。
以前、講演会でこういう話をしたことがあります。
「イタリアの伝統ある帽子メーカーが『日本円で20万円以上もする超高級な帽子をかっこよく被る方法』を説明していました。こんな高い帽子をどう被ればいいのか、鏡の前で、ああでもないこうでもないと悩みそうですが、『気にせずにさっと被る』が正解です」
超高級といっても、「たかが帽子」ですから、「被るあなたの価値のほうがはるかに高い」というのが、その答えの根拠です。
志望校の偏差値が、たとえば70だとしましょう。では、わが子の偏差値をつけるとすればいくつでしょうか。勉強面を一度忘れて、数字をつけるとすればいくつでしょうか。
学校の価値よりも、わが子の価値のほうがはるかに高いのは間違いありません。
もし、志望校について子どもが過度に気負ってしまっているようだったら、「当たり前のことを言うけど、○○中より、あなたのことのほうが、比べものにならないくらい大事だよ」と伝えてあげてください。
どこを併願するかで迷ったら
中学受験は、午後入試や即日発表などもあり、併願作戦を立てるのはまるでパズルのようですが、第一志望を受けるためにも、併願校は重要です。
併願作戦を練るときのポイント
●第二〜四志望の序列を決めることに大きな意味はありません。第一志望は、モチベーション維持のために明確に、それ以外は「遠いけど進学実績はよい」などプラスマイナスの両面があるので、どこを選んでも大差ないと思いましょう。
●偏差値は「入学難度」であり、学校の価値とは別物という大前提に立ちましょう。
教育コンサルタント・学習アドバイザー。神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。毎年、塾に通う生徒全員と直接面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談、カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上にのぼる。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。一番大切にしていることは、ご縁があり指導することになった子どもたちとご家族のために、誠心誠意、ベストを尽くすこと。著書に『中学受験 合格できる子の習慣 できない子の習慣』(KADOKAWA)、『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)、『親の声掛けひとつで合否が決まる! 中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)がある。