桃太郎が見落とした前提とは
しかし、鬼ヶ島以外にも鬼がいたらどうなるでしょう。鬼ヶ島の鬼を退治しても、別の場所にいる鬼が村々を襲ってしまうなら、鬼の被害はなくなりません。桃太郎が前提に加えておくべきであったのは次の点です。
:鬼の一部は村々を襲うために鬼ヶ島の外にいる。
村々を襲う鬼の一部が鬼ヶ島の外にいるということは、鬼ヶ島にいる鬼を退治するだけではすべての鬼を退治できるといえなくなります。鬼ヶ島の外で活動している鬼たちの動向を把握した上で、鬼たちを効率的に退治する方法を考えなければなりません。島外で活動する鬼たちについて、いつどこでどんなことをしているのか、どれくらいの集団で行動しているのか、事前に情報収集するべきです。鬼たちの行動パターンを把握し、鬼ヶ島の外で活動中の鬼たちの所在を特定、退治する必要があります。
前提を変えると仮定と結論が変わる
前提を変えることで、仮定と結論も変わります。当初は「桃太郎一行が鬼ヶ島に向かい、鬼を退治する」だけでしたが、鬼ヶ島の外で活動中の鬼たちへの攻撃計画も盛り込む必要が生じました。「仮定:島外の鬼たちは何らかの連絡手段で情報共有している可能性がある」を追加し、仲間のイヌ・サル・キジに指示をして、最大で3つの別動隊チームを組み、島外にいる鬼の集団を各個撃破することで、討ち漏らしを防ぎます。
前提と仮定の変化を踏まえると、「結論:イヌ・サル・キジが別動隊を組織して島外の鬼たちを退治する」を追加することが望ましいでしょう。こうして桃太郎一行は鬼たちの動向をしっかりと把握し、鬼ヶ島の外で行動中の鬼たちも含めた攻撃計画を立案することにしました。
その結果、イヌ・サル・キジの別動隊による島外の鬼への攻撃と、桃太郎率いる本隊による鬼ヶ島への攻撃は同時に行われ、鬼たちを一網打尽にすることができたのです。
めでたし、めでたし。