「女系」は合意事項と考えるのが自然
もちろん、今の制度では皇室典範の改正は政府・国会が対処すべき政治案件であって、ご自身にかかわる法律であるにもかかわらず、皇室の方々は直接タッチできません。しかし、政治の場における検討のプロセスにあって、当事者である皇室の方々のご意向に配慮すべきことは、当然です。
したがって、あらかじめ当事者としてお三方のお考えを調整しておかれることは、必要だったでしょう。そうであれば、この時の羽毛田氏の発言はお三方の合意事項を踏まえたものだった、と受け止めるのが自然ではないでしょうか。
ならば、「女系」という選択肢もお三方のお考えに含まれていると思われます。「皇室典範に関する有識者会議」の報告書にも、次のような指摘がありました(平成17年=2005=11月24日)。
皇室の方々におかれても、おそらくこの「判断」を共有しておられることと、拝察できます。この報告書が出されて以降、政府・国会においても、安定的な皇位継承を可能にする現実的、具体的な提案は、ほかには残念ながらいっさいなされていません。「皇室の伝統」に対する上皇陛下のお考えに照らしても、ここで示された結論に賛成しておられると見るべきです。
愛子さまが天皇になるべき理由
これまでの議論を再整理する意味で、敬宮(愛子内親王)殿下が将来の天皇になられるべき理由について、簡単にまとめておきましよう。
その「1の理由」は、「女性天皇」を排除している今の皇位継承ルールを維持していては、皇室そのものが存続できなくなる、ということです。
側室不在の「一夫一婦制」で、しかも“少子化”を食い止めることができない状況なのに、明治の皇室典範で初めて採用された「男系男子」限定という歴史上最も窮屈な縛りに、いつまでもしがみつくことはほとんど自殺行為と言わなければなりません。
だから皇室の存続を願うのであれば、そのような無理で無茶なルールを変更して、女性天皇、女系天皇を可能にする以外に、方法はないのです。