第3号被保険者の数は30年で半減

実際に会社員の配偶者の第3号被保険者の数は1995年の1220万人をピークに減り続け、2024年は約676万人に減少している。しかも女性が約663万人と圧倒的に多い(2024年度「厚生年金保険・国民年金事業月報・速報」)。また、女性の第3号被保険者の年代別の割合では、40~44歳が30.3%と最も多く、35歳以上の女性の3割前後が3号被保険者となっている(2022年)。

経済団体も連合も足並みがそろった

こうした中、年金制度改革を契機に制度の廃止に向けた提言が労働組合や経済界から相次いで出されている。すでに労働組合の中央組織である連合は、2023年10月に第3号被保険者の段階的廃止の方針を打ち出している。

経済界では、経団連は「次期年金制度に向けた基本的見解」(2024年9月30日)を公表。第3号被保険者制度について「現在、共働き世帯が多数派になっているなど、1985年に制度が創設された当時と経済社会の実態が大きく変化している」と指摘。被用者保険の適用拡大を確実に進めていき「第3号被保険者を縮小していくべきである。これらの進捗を踏まえ、非就業者の大宗を占める第3号被保険者制度の在り方を検討、再構築することが望ましい」と述べている。

十倉雅和氏 経団連が11年連続与党評価
写真=共同通信社
記者会見する経団連の十倉雅和会長=2024年10月7日午後、東京都千代田区

また、関西経済連合会(関経連)は、「社会保障を中心とする税財政に関する提言~財政健全化、経済成長、国民の安心を支える社会保障制度の確立に向けて~」(2024年10月16日)を公表。「『年収の壁』の抜本的見直しに向けた第3号被保険者の廃止」に初めて言及した。具体的には「被用者保険の適用拡大や就労の促進を通じて第2号被保険者を増やしつつ、第3号被保険者制度を段階的に廃止すべきである」と言う。

第2号被保険者とは自ら保険料を負担する会社員・パートなどである。その上で「第2号被保険者に該当しない者については、第1号被保険者として負担を求めることを検討すべきである。その際、現行の減免制度により、低所得者に過度な負担を強いないようにするとともに、出産・育児、介護などの事情で働けない者への配慮をあわせて行うことが求められる」としている。