自分でも怖いくらいの声を出していた

4歳と1歳の子どもを育てるイズミさんは、毎日自分でも怖いくらいの声を出して、子どもに怒鳴っていました。

「朝の準備が遅かったり、床に散らかっているミニカーを踏んだり、スイッチが入るきっかけはさまざま。よくないとはわかっているんですけど、子どもに怒って、自分も落ち込んで、ということをくり返していました」

何かあると、長男に対してイライラをぶつけてしまいます。冷静になってから「あんなに怒ることじゃなかったな」と反省したのも、一度や二度ではありません。

夫は単身赴任で2~4週間に1回ほど帰ってくる生活。基本的にワンオペで家事・育児をこなしています。

マンションから一軒家に引っ越したときは、とりあえず生活できるように整えただけ。きれいな家で暮らしたいと思いながらも、リビングはおもちゃが散らかり放題、ダイニングテーブルはモノが置きっぱなし。掃除をしようと思っても、片づけから始めなければいけないのでそこまでたどりつきません。

本当は怒りたくないのに怒ってしまうため、自己嫌悪や精神的な疲労も蓄積されて、イズミさんは負のループに陥っていました。

「もしかすると、部屋が散らかっていることがイライラの原因なのかも」と思い、忙しいながらも片づけてみることにしました。

週5日のパートに加えて家事・育児に時間を取られる中、活用したのがタイマーです。「10分だけ時間がある」と思ったら、タイマーをかけて片づけをスタート。棚の引き出し一つ分だけなどできるのは部分的ですが、これが積み重なって着実に家の中のモノが減っていきました。

お母さんと息子
写真=iStock.com/diignat
※写真はイメージです

長男に『ママ、家が散らかっていると心がザワザワするんだ』って話したんです。すると、少しずつですが、片づける日を決めて自分で片づけてくれるようになりました! ほめたり、『ありがとう』って伝えたりすると、うれしそうにしてくれて」

モノを捨てられない息子を変えた声かけ

イズミさんは声かけも工夫しました。

たくさんのおもちゃを手放したくない長男に、「使っていないおもちゃが入っているこの箱がなくなったら、新しいおもちゃが一つ置けるね」と、モノを手放すメリットをちゃんと話すように。

結果、古いおもちゃを大量に手放すことができ、長男は大好きなおもちゃを一つ手に入れて、イズミさんも長男も大喜び。

こうして家の中がきれいになるにつれて、イズミさんの怒鳴り声が家から消えました。叱ることはありますが、大きな声を出さなくなり、子どもが文句を言ってきても「今はそういう気分なんだね」と受け止めてあげられるように。

「環境って大切なんですね。きれいな部屋の中だと、怒っている自分が不釣り合いに思えてきたんです。片づけが終わってから毎日お花を飾っているんですけど、『きれいなお花がある場所でイライラしている私って、どうなの?』って(笑)」

お花は、お店で長男と一緒に「どれがいい? せーので言ってみよう」と選んで買っています。今では、「今度はいつ行く?」と2人の楽しみにもなっています。

もうすぐ夫の単身赴任が終わります。そのときには、家の中を見直してもう一度片づける予定です。

◎西崎さんコメント
家族に「片づけて」という前に「自分はどういう暮らしをしたいのか」「こんなところを助けてほしい」と正直に伝えてみましょう。お子さんがたとえ小さくても、きちんと話せば意外と伝わるものです。

もうひとりの片づけ事例を紹介します。お子さんの不登校に悩んでいた、千春さんの事例です。