片づくと子どもへの対応にも「余裕」が…

「真ん中の子が、小学4年生の2学期から体調を崩して登校できなくなって。原因は学校のストレスでした。うちの子に起きたことがショックで、そのときは受け止めきれなかった」

当時を振り返る千春さんは、時短勤務で働く3人の子どものママ。子どもを気づかい、仕事と家事の傍ら、検査入院など療養を優先しました。体がよくなれば学校へ行けるだろうと願いながら。

「年が明けて回復はしたけど、パワーが十分じゃなくて。学校へ行く怖さや、周囲の目を気にして本人は不安だったんです。でも、私は『もう行けるんじゃないの?』と思ってしまった」

親として言って聞かせなければと、言い方がきつくなることも。暗中模索でした。

視点が変わったのは、不登校の事例が書かれた書籍と出合ったとき。親の不安や焦りみたいな感情が子どもに伝わっているのだろうかと、自身に目を向け始めました。これまで家事に仕事に追われて殺気立ち、さらに不用品だらけの部屋でイライラ。

西崎彩智『人生が変わる 片づけの習慣 片づけられなかった36人のビフォーアフター』(朝日新聞出版)
西崎彩智『人生が変わる 片づけの習慣 片づけられなかった36人のビフォーアフター』(朝日新聞出版)

そこで、SNSのミニマリストの部屋を参考に、片づけ始めます。収納は、戸建ての理想の6割収納にしました。下の子は、寝る前に片づけるママを見て、おもちゃを自分で片づける習慣ができました。自分だけ頑張らなくても家が整うように。

家事の負担が減ると、子どもへの対応にも変化が。

「ありのままを受け止められるというか。『勉強イヤや』ってときは『そうやんな。体育と図工だけやったらいいのにな』とか、余裕がある感じです。年末には、家の中がだいぶスッキリしていました。真ん中の子は、年明けに学校へ行けるかなと思っていたら『行く』と言ってくれました」

家族みんなが心にゆとりを持てるようになったようです。

子どもの「自分はできる」という意識をつくる

ある心理学者の方が、自己肯定感が低い子には掃除をさせるといいと言っていた記事を読んだことがありますが、全く同感です。掃除も片づけ同様、自分がやった成果を目で確認することができますし、どんなに短い時間でもやれば必ず結果にあらわれます。

片づけと自己肯定感は関連があります。

私自身、片づけができていないときは自己肯定感が下がっていました。仕事から帰ってきたときに散らかった部屋を見ることは自分のダメな部分を突きつけられるのと同じですから、自己肯定感が上がるはずがありません。

5分でも10分でもやれば、「あ、今日これ私が片づけたんだ」と「自分でできたんだ」という成果を確認することができ、これが自己肯定感を上げることにつながります。

子どもの意識も「自分はできる」という意識に変わると、だんだん当たり前のように片づけができるようになります。

西崎 彩智(にしざき・さち)
お片づけ習慣化コンサルタント Homeport代表

1967年生まれ、岡山県出身。大学卒業後、住宅メーカーのインテリアコーディネータとして従事。結婚し、20年専業主婦を経験したが離婚。その後はヨガスタジオの店長としてスタジオに通う多くの女性のさまざまな相談に応じる。2015年、得意の片づけを生かして起業。お片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト」修了生は全国で3000名を上回る。