失敗させまいという気持ちを抑えることも大事

人は経験から先を予測します。子どもに対して「好きな道を選べばいい」と言いつつ、子どもが決めたことに反対し、無理やり「失敗しない道」「親がよかれと思う道」を選ばせたがります。しかし人は自分で選択し、失敗することで自分の限界や能力を知り、困難を乗り越えていきます。そして挫折から立ちなおるレジリエンスも高められます。

親にも、子どもの失敗を前向きに受け止める姿勢が欠かせません。

<感情の混同>
本人の感情を尊重せず、自分の感情をまるで本人の感情のように口にする。

<先回り>
本人を急かし、先回りしてやることをすべて指示する。思考ややる気、自己効力感を奪ってしまう。

<自己の押し付け>
自分の方法論を自明のことのように本人に伝え、それ以外の選択肢を許さない。

【図表4】子供が失敗した時の親の対応
出所=『思春期の子の「うつ」がよくわかる本』(大和出版)P71

親子関係が自立の妨げになることがある

親子関係はうまくいっていますか?

友だちのように仲の良い親子は、一見理想的かもしれません。しかし、養育する側とされる側、それぞれの立場は同じではありません。その立場の違いが、自立したいという気持ちを促します。一方、親に対して絶対服従を強いる、逆に親が子どもの言いなりになるという関係も、自立の妨げになります。

【図表5】NGな親子関係
出所=『思春期の子の「うつ」がよくわかる本』(大和出版)P72
NGな親子関係

<対等>
友人のように仲良しで対等な存在だと、子どもは親に反発し、距離を置き、自立することができない。

<子が絶対上>
子どもの機嫌をとり、要求に応じ、自主性に任せきりは、たんなる過保護。
規範を示すのも親の役割。

<親が絶対上>
親が子どもを尊重せず、一方的な態度で接する。
子どもは自立の機会を奪われる。