自分自身で心身を整え、前に進めるようになる技術

[質問3]
自分のニーズと相手のニーズを満たすために、どんな行動をとってみたいでしょうか。
[例]
簡単なスプレッドシートのフォーマットをつくり、一度、担当者に「こんなやり方はどうですか」と提案してみたいと思う。これでお互い楽になれたらいいな。

[解説]

このエクササイズで、相手のニーズをつかむためには、今世界的に注目されている「セルフ・コンパッション」のアプローチが有効です。

セルフ・コンパッションとは、ひと言で言えば、「自分にやさしくすること」。そうすることで、自分自身で心身を整え、安心感を得て、自信をもって前に進むことができます。このセルフ・コンパッションで自分に向けている態度や行動を、そのまま相手に向けていけばいいのです。

黒板に1から3のステップを書く子どもの手
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです
若杉忠弘著『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』(かんき出版)
若杉忠弘著『すぐれたリーダーほど自分にやさしい』(かんき出版)

もちろん、いつもコラボレーションがうまくいくとは限りません。いや、むしろ、うまく行かないことのほうが多いかもしれません。お互いが納得のいく解決策にたどり着けないことや、決裂してしまうこと、自分の見立て通りにいかないことはいくらでもあるでしょう。

それはつらいことですが、そういう難しい感情に対応するためにも、セルフ・コンパッションがあることを忘れないでください。

本稿では、コラボ疲れへの対処方法について考えてきました。本来のコラボレーションの目的は、効率と成果を上げることです。本稿のエクササイズを参考に、ぜひ本来の目的にかなったコラボレーションを実現させてください。

若杉 忠弘(わかすぎ・ただひろ)
グロービス経営大学院教授

東京大学工学部・大学院を経てBooz Allen Hamilton(現PwCコンサルティング)入社。ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。帰国後、グロービスにてMBAプログラムのディレクター。一橋大学大学院にて1800人を対象とするセルフ・コンパッションの調査・実験を行い経営学博士を取得。米国の「センター・フォー・マインドフル・セルフ・コンパッション」で講師資格を得て、セルフ・コンパッションのエバンジェリスト(伝道師)として活動中。