自分自身で心身を整え、前に進めるようになる技術
自分のニーズと相手のニーズを満たすために、どんな行動をとってみたいでしょうか。
[例]
簡単なスプレッドシートのフォーマットをつくり、一度、担当者に「こんなやり方はどうですか」と提案してみたいと思う。これでお互い楽になれたらいいな。
[解説]
このエクササイズで、相手のニーズをつかむためには、今世界的に注目されている「セルフ・コンパッション」のアプローチが有効です。
セルフ・コンパッションとは、ひと言で言えば、「自分にやさしくすること」。そうすることで、自分自身で心身を整え、安心感を得て、自信をもって前に進むことができます。このセルフ・コンパッションで自分に向けている態度や行動を、そのまま相手に向けていけばいいのです。
もちろん、いつもコラボレーションがうまくいくとは限りません。いや、むしろ、うまく行かないことのほうが多いかもしれません。お互いが納得のいく解決策にたどり着けないことや、決裂してしまうこと、自分の見立て通りにいかないことはいくらでもあるでしょう。
それはつらいことですが、そういう難しい感情に対応するためにも、セルフ・コンパッションがあることを忘れないでください。
本稿では、コラボ疲れへの対処方法について考えてきました。本来のコラボレーションの目的は、効率と成果を上げることです。本稿のエクササイズを参考に、ぜひ本来の目的にかなったコラボレーションを実現させてください。
東京大学工学部・大学院を経てBooz Allen Hamilton(現PwCコンサルティング)入社。ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。帰国後、グロービスにてMBAプログラムのディレクター。一橋大学大学院にて1800人を対象とするセルフ・コンパッションの調査・実験を行い経営学博士を取得。米国の「センター・フォー・マインドフル・セルフ・コンパッション」で講師資格を得て、セルフ・コンパッションのエバンジェリスト(伝道師)として活動中。