性犯罪者になった推しへの怒りは映画に向かった

映画をつくってみたいと考えはじめた時の記憶がよみがえった。10代の頃、すべてをささげて愛したオッパ(韓国の女性が親しい年上の男性を呼ぶ言葉。ファンが俳優やアイドルに対して使用することも多い)が、性犯罪者として逮捕された衝撃的な事件の後、しばらく抑えがたい怒りがこみ上げていたが、特に何も感じずに過ごした日もあった。

毎日ずっとその人のことを考えて感情をすり減らしていたわけではない。ただ、この事件を忘れることは永遠にないという現実だけは、たえず心の奥底にあった。少し涙が出たり、激しい怒りを覚えたり、裏切り行為に対する言葉では何とも言い表せない気持ちになったりしながら、その人のファンだったという事実をユーモアで昇華する境地へとたどりついた。自分の苦しみは他人の幸せになる。友だちはわたしを哀れみながらも、空気を読んで「そんな人が推しだったなんて理解できないね」と、さりげなく皮肉を交えてジョークを言った。そんなときは、わたしも一緒に笑っていた。