多分割睡眠はどんな人に向いているか

多分割睡眠は、次のような人に適しています。

〈短期的には〉
● 0歳児に授乳中で夜何回も起こされる
● クライアントの都合で生活リズムが定まらないトラックドライバー
● 船上で待機と作業を繰り返す漁師
● 消防士や新聞記者などの職業でまとまった睡眠が取れない
● 夜間も海外からの連絡などに継続的に対応する必要がある
● 選挙中の候補者など極限状態まで多忙なとき

〈長期的には〉
● 1日の中で好調、不調な時間帯が明確にある

※長期的にこの戦略を採ることはおすすめしません

保険会社営業事務・赤木さん(仮名/30代女性)の多分割睡眠戦略

保険会社で働く赤木さんは30代で出産し、産休育休入り。赤ちゃんの睡眠が不規則で十分な睡眠が取れず、うつ状態になりかけたことから、多分割睡眠を採り入れました。

赤ちゃんは午後7~10時ごろにまとめて眠ることが多かったので、赤木さんもこの時間帯にメインの睡眠を取ることに。あとは、赤ちゃんが寝ている間に25分間の仮眠を1日に4、5回取るようになりました。

ベビーベッドで眠る赤ちゃん
写真=iStock.com/Image Source
※写真はイメージです

すると睡眠不足が解消し、すっきりとした状態で過ごせるように。メンタルも大幅に改善しました。

生後6カ月ごろからは少しずつ赤ちゃんを夜寝かせる生活にシフト。できた時間を使ってマーケティングやプログラミングの勉強を始め、資格も取得しました。

動画を使って体を動かすこともでき、育休前よりもパワーアップした状態で無事に復職できました。

「単相性睡眠」と「多相性睡眠」の違い

現代人は、夜間に6~8時間の睡眠をまとめて取るというスタイルが主流です。

この眠り方は「単相性睡眠」と呼ばれます。

一方、犬や猫を含む哺乳類の多くは、短い眠りを1日の間に何度も繰り返して取ります。

このような眠り方を「多相性睡眠」と呼び、こちらが生物本来の眠り方だと考えられています。

私たち人間も生まれたときは全員が多相性睡眠で、赤ちゃんの間は昼夜の区別なく寝て、数時間おきに目を覚ましますが、やがて夜の睡眠が長くなり、単相性睡眠へと移行していきます。

一説には、単相性睡眠は18世紀後半に起きた産業革命以降、労働者が日中に効率よく働けるようになったことで、都市部から徐々に定着したといわれています。

それ以前の人々は夜の睡眠を中心にしつつも、疲労回復のためのお昼寝や仮眠も織り交ぜる緩やかな多相性睡眠を取っていた可能性があります。単相性睡眠は現代では主流の眠り方ですが、歴史は意外にも浅いと言えそうです。