「自分が正しい」というおごりがあると、人はついてこない

現代においても、事務的能力が高く、工程表やスケジュールなどの段取りを組み、体制構築も優れているものの、実際にはとり組みが進まないといったケースがあります。

その原因としてよくあるのは、担当者の「自分が正しい」という気持ちが強すぎるがあまり、現場の意見をむげに否定したり、却下したりするなど、他者の気持ちへの配慮が乏しいことです。

上司に注意されているビジネスマン
写真=iStock.com/maroke
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いくら事務的能力があっても、自分1人で成し遂げられないことなら、人心がついてこないことには、計画通りに進められません。

私がコンサルティングしたプロジェクトでも、主導するリーダーが「自分の考える方針が正しく、その方針を貫きたい」という思いが強すぎて、ほかのメンバーの意見を否定したり、却下したりして、反発を招いたことがありました。

リーダーという地位にあぐらをかいて、部下の意見や批判を受け入れないため、方向性を見失った“裸の王様”のような状態になり、スケジュールは明確なものの、遅々として進まなかったのです。

「裸の王様」にならず、周りを味方につけるための3カ条

こうした事態に陥ったときには、次のように対処するのがおすすめです。

①自分の強い思いはいったん脇に置いて、相手の立場になって考える
(自分の発言によって相手が感じることを想像する)
②相手の立場を想像しつつ、相手の考えや思いに耳を傾ける
③そのうえでリーダーとしてどのような方向に進みたいのかを伝える

①②ともに「自分は絶対に正しい」という思いにとらわれると、相手の立場に立ち、傾聴することは難しいです(相手にもそれが伝わります)。

前述のプロジェクトでも、リーダーが①〜③にとり組むことにより、プロジェクトが徐々に前進するようになりました。

部下の考えや思いに耳を傾けるだけでも「自分を尊重してくれた」という気持ちになり、協力してくれるのです。

いくら能力が高い人でも、自分だけでは成果が出せません。成果を出すには、部下の考えや感情を尊重することで、まわりの人を味方につけて巻き込み、力を借りることが欠かせないのです。