反応で違和感を抱くか確認する

「この面接での虚偽の発言は懲戒の対象になりますが、よろしいですね?」

受かろうと必死で、面接でつい大きく見せたり嘘をついてしまうのは、実際に良くある話です。たとえば、面接で「御社への志望度は高いです!」と言っていた人が、入社後に「実は、それほどでもなかったんです」とカミングアウトしたとしても、まぁ一般的には許容範囲でしょう。

一方で、これから就く仕事に必要な資格やスキル、経験がないのに「ある」と嘘をついていたとすると、なければ採用しなかったわけですから、入社後は懲戒解雇になる可能性が高いと言えます。

そういう事態を避けるために、この質問をぶつけてみます。

動揺した表情を見せるのか、はたまた「全然大丈夫です!」と涼しい顔をしているのか等、その反応で違和感を抱くかどうかをチェックしましょう。

「平気で嘘をつく人」を入社させないための質問

こうした念押しをしておくのは、入社後のトラブル防止に非常に効果的です。

「(求人の職種について)充分な経験がある」とのPRを鵜呑みにして採用するも、経験などない、あるいは経験はおろか知識すらないという人を、筆者は直に見た経験が複数あります。

中谷充宏『小さな会社の採用お金をかけなくてもここまでできる!』(秀和システム)
中谷充宏『小さな会社の採用お金をかけなくてもここまでできる!』(秀和システム)

こうした人は嘘をついている自覚が乏しく、

「少しかじった程度でも、経験は経験じゃないですか?」
「この程度の給与でそこまでのレベルを要求する方が、そもそもおかしい」

と、反駁してきます。こうなった時に、「面接でこうした主旨を伝えましたよね? 大丈夫と回答しましたよね?」と、論理的に詰めることができます。

なお、嘘をついたから何でもかんでもすべて懲戒解雇ではなく、「それが真実(たとえば必須条件を満たしていない)だったら採用しなかった」という点が懲戒解雇の基準になりますので、覚えておいてください。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
社会保険労務士、キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)

NTTでSE、リクルーターを務めた後、1社で採用人事を含む経営企画を担当。2004年に独立開業。社労士として埼玉、東京を中心に中小企業の労務顧問を多数担い、2社の人事部長を任される等、現場最前線で人事労務コンサルを実践、労務問題と解決策を熟知。特に「モンスター社員」対策に精通。キャリアカウンセラーとして埼玉県教育委員会や自治体が運営する就労支援機関、4つの大学のキャリアセンターでの勤務を通じ就職支援実績が豊富。日本では数少ない、応募者と採用者の両面を熟知する存在。NHK、読売新聞、マイナビ転職等マスコミ取材実績多数。著書に『面接官が本音で教える集団面接・GD完全対策マニュアル』、『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)等がある。