20年以上前から共働き世帯のほうが子ども数が多い
これまでの分析結果を整理すると、以下の3点となります。
①2000年から2010年までは、共働き世帯の子どもがいない割合のほうが高いが、2015年以降はこの関係が逆転している。
②子ども一人の割合は、専業主婦世帯のほうが持続的に高い。
③子ども2人以上の割合は、共働き世帯のほうが持続的に高い。
これらの結果から、「実は共働き世帯のほうが昔から子どもの数が多い傾向にある」また「2015年以降だと共働き世帯のほうが子どものいない割合が低い」と言えます。
なぜ共働き世帯のほうが子どもが多いのか
ではなぜ、共働き世帯のほうが子どもが多いのでしょうか。この背景として2つの要因が考えられます。
まず1つ目は、共働き世帯と専業主婦世帯の所得の違いです。
図表5は総務省統計局の「家計調査報告」から共働き世帯と専業主婦世帯の月平均の実収入を見ています。実収入とは、税込み収入であり、世帯員全員の現金収入を合計したものを指しています。
これを見ると、2000年以降、一貫して共働き世帯の月収が専業主婦世帯よりも高くなっています。夫の所得が高い世帯ほど妻が専業主婦になりやすい傾向がありますが、平均値で見ると、月収は共働き世帯のほうが高くなっているのです。
このような安定した所得が専業主婦世帯よりも子どもを多く持つことを可能にしていると考えられます。子育てにはお金がかかりますが、共働き世帯のほうがその支出に対応できる収入があるというわけです。
2つ目の要因は、共働き世帯の女性が非正規雇用で働き、仕事と家事・育児の両立負担に対応しているのではないかというものです。
内閣府男女共同参画局の「結婚と家族をめぐる基礎」によれば、増加する共働き世帯の中でも伸び続けているのは妻がパートの世帯であり、妻がフルタイムの世帯数は1985年から2020年の間、概ね横ばいとなっています(*3)。
フルタイムではなく、パートを選択することで仕事と家事・育児の両立負担を何とか対処している可能性があると考えられます。