新しい技術が普及するたびに必ず出てくるアンチ説

【森戸】新しい技術が市場に出てくるたびに、その悪影響を指摘する説が登場します。テレビもウォークマンもファミコンもそうでした。けれども徐々にそれを更新する情報で上書きされていくことが多いのです。例えば今ではブルーライトは、本当はあまり悪くないことがわかってきています。日本眼科学会ら6団体が連名で発表した「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」によると、デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇りの日や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を与えることのないレベルだそうです。

じつは、ブルーライトが目に悪いという科学的根拠は、いまのところないのです。

だからブルーライトカットのレンズを私の娘に使わせていたんですけど、目の疲れには関係がなかったなと。寝る直前にデジタル機器を使うことを控えるほうがいいようです。

――僕もまさに持っています(笑)。それは知りませんでした。​そうやって新しい研究などが出てきて、良しとされるものがどんどん更新されていくんですね。

【森戸】そうなんです。なんでも「危ないだろうからやめさせよう」というのが、段々「実は大丈夫だよ」というふうになっていくんじゃないかなと。写真だって「魂取られるから」と言われながら、問題なく普及してきたので。

女性のかけている眼鏡に映るブルーライト
写真=iStock.com/Vadym Plysiuk
※写真はイメージです

「電池の入ったおもちゃ」に反対する勢力がいた

昔、電池が入っているおもちゃや絵本に反対する人がいたそうなんです。「白木で作った積み木や簡単なおもちゃこそ素朴でいいもので、電池が入っていてカラフルで音も出るおもちゃは子どもの創意工夫を失わせる」という考えや、絵本ですら「物語は耳で聞いて想像するものだから最初から絵なんかあったら想像力がなくなる」という考えの人がいたらしいのです。

――それはすごい。現代の価値観からすると意外にしか感じられませんが、そんな着眼点もあるのですね。

【森戸】そうなんですよ。だからといって絵本で育った私たちがおかしくなったかというとそんなことはありません。

スマホもそうですが「ちょっとでも見せたらバカになる」といったマイナスの切り口のものは極論が多い印象です。