子育て情報に多い極論

――特に子育てということになると、極論や「これが正しい」と信じてやまない人たちが強く主張してくるような状況がありますよね。

【森戸】自分が育ってきた環境がスタンダードで、新しく出てきたものは怖い・避けるべきだと考える人がいるんですよね。「自分が子どもの時にスマホなんかなかったから、スマホなんか育児にいらないんだ。むしろ害だ」という。それはちょっと……言い過ぎではないかと思います。

――新しく出てきたものは特に、警戒心ゆえかネガティブに見られやすいのかもしれませんね。育児でスマホが有効活用できる例は、先程の「子どもをちょっとの間静かにさせる」の他にどのようなものがありますか?

【森戸】コロナ禍で出かけられなかった時期から、スマホ内で美術館や博物館に行って展示物を見る、楽器の演奏がスマホでできるといったものが増えてきました。

色々なことを見てみる・やってみるハードルがスマホによって下がったと思います。経済的に余裕のない家庭や、保護者が忙しい家庭だと難しかった「博物館に連れていく」「楽器を習う」「絵を書いてみる」といったことが、スマホ1台でチャレンジできる。そうやって知育玩具的な使い方もできると思うんですよ。たとえば楽譜を書けない子が作曲できるようになるかもしれない。意外な才能が見つかるかもしれない。暗記に役立つアプリもありますし。

スマホを使用する子ども
写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです

スマホはテレビと違って「高度なコミュ力」が必要になる

それと、スマホはインタラクティブといういい面もあります。一方的に受け身になるテレビなどと違って、たとえば遠く離れたおじいちゃんおばあちゃんと週に1回顔を見ながら会話ができるとか。

あと文章でやり取りするにしても、炎上しないような・誤解を生まないような文章の書き方、絵文字の使い方がある。

――最近の若い子はすごいですよね。気遣いのある文章を書くのがみんな本当に上手で。

【森戸】うちの娘も「下手にスマホを使って告白しちゃうと、みんなに見せびらかされたり言質を取られたりするリスクがあるから、本当に大事なことを伝える時はスマホを使わないんだよ」と言っていて。

――それは感心しますね。

【森戸】そういうことをちゃんと学校で習っているようです。家庭科などで。

「家の表札に出せないようなことは出さない」「みんなに知られてよくないことは出さない」。そういう教え方をしていて、「いいなあ」と思いますね。