子どもにスマホを見せないことは無理

――森戸先生の学会講演の記事で、「スマホはインフラ」との言及がありました。スマホはもはや単なる娯楽や便利なツールに留まらず、生活に必要なインフラといって差し支えないものと。

【森戸】スマホなしでは生きていけない時代になってきました。保育園の連絡帳がスマホアプリのところが増えましたし、大学受験の受付が紙でなくネット申し込みとなっています。おうちにパソコンがない場合は、図書館のパソコンを借りてやる。あらゆることがスマホやパソコンが使える前提なんです。

――スマホ育児に反対だった知人が、子どもができて育児を始めてからスマホ育児を容認するようになったようで、生活にこれだけ食い込んでいるものを育児から引き剥がすのは難しいと感じたらしいです。子どもにスマホを触らせないだけならまだ可能かもしれないけど、子どもの前でスマホをまったく触らないなんてそれは無理だよなと。

【森戸】自分でやってみないとわからないこと、いっぱいあるんですよね。

ママグループやPTAのLINEなどを見ていて、子どもに「ちょっと待ってね。お母さんPTAのことやってるから」と言っても、子どもにはスマホを見てるとしか見えないから、「ママもやってるから私もやりたい」となってしまうし。スマホをやっているからといって遊んでいるわけではないんですけど、周りにはそう見えるんですよね。

外出中のスマホもOK

――公共の場所でスマホを触る時、そう見られているかもということは常に意識にあります。

【森戸】外で子どもにスマホを見せることに関しても、私はいいと思います。大音量で見せて周りの迷惑になってしまうのはよくありませんが。公共の場所で騒いでしまったら批難するのに、スマホを使って静かにさせていても責められるのはあんまりです。スマホそのものがダメなのでなく、「どう使うか」が大事なので。

――育児でスマホをどう使うか考える時、配慮したほうがいいことはありますか?

【森戸】たとえば「課金サイトに誘導されないためには」を学ぶとか、暴力的なものや性的なものを見せないようにフィルターをかけるとか、そういう安全な使い方をすればいいと思います。

電車の中でスマホを使用する眼鏡をかけた子ども
写真=iStock.com/Andrey Znamenskyi
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