日米「仕事の話を聞く機会」の違い

「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」のひとこま。

石巻高校2年生の松本一馬さんが、将来就きたい仕事のイメージを手に入れたひとつのきっかけ「職業講話」の話を続ける。

「話を聞いたのは、石巻高校OBの方でした。1年生の時はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の方、2年生の時は東芝に勤めている方でした。石巻高校では年に1回、1、2年生を対象に、分野ごとに別れて計10~15人くらいの方が来てくれます。分野ごとに講義室や、各教室で行われます」

今年の石巻高校「職業講話」では、以下12種の職に携わる大人たちが同校を訪れ、講演している。

宮城県人事委員会主任主査、東部教育事務所主幹、石巻保健所所長、石巻薬剤師会事務理事、看護教諭(宮城大学準教授)、東芝東北復興推進室副室長、日本テレビ放送網制作局プロデューサー、管理栄養士、建築設計事務所、せんだい演劇工房長、法律事務所、石巻保育所所長。

以下は「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」で、高校生たちの前で話をした職業人のリスト(一部抜粋)。

●IT関連=アップル、グーグル、レッドハットのソフトウェア開発者。アップルのプロジェクト・マネジャー。ピクサーのアート・ディレクター。

●起業家=動画投稿交流サイト「Rusvi」の共同創立者。サウスベイエリアのクパチーノに日本式ヘアサロン「Saga Hair Salon」を開いたオーナー。オークランドのマーケティング会社「Crosswater Media」の創業者。サンフランシスコ・べイエリアにオフィスを構える「翠(みどり)法律事務所」の設立者。発達障害者向けIT支援会社「Spectrum Visions」の創業者。

●非営利組織、医療関連=合州国最大規模の医療保険グループ非営利法人「Kaiser Permanente」に所属する看護師。環境NPO「Global Footprint Network」のリサーチ・エコノミスト。パンクしないサッカーボールを世界の子どもに配るプロジェクト「one world futbol」のスタッフ。カリフォルニアのエル・カミーノ病院での看護師経験者。

●教育・研究=パロアルトの高校の教師。スタンフォード大学の幹細胞研究者と宇宙研究者。

●アーティスト=陶芸家、ピアニスト、筆耕家、サンフランシスコを拠点に日本のデザインを紹介するプロジェクト「The Tofu Project」のクリエイティブ・ディレクター。

●官僚=サンフランシスコ日本国総領事館スタッフ。

松本さん、「職業講話」と、「TOMODACHI~」でいろんな仕事をしている人に会ったこと、どんな点が違いますか。

「学校の職業講話では、ひとつの分野を2時間ほど聞きますが、アメリカでは、たくさんの分野について話を聞くことができました」

「TOMODACHI~」では、自由に部屋を出入りし、複数の職業人の話を"渡り歩いて"聞くことができるスタイルだったという。どちらのほうが優れている、という話ではない。さて、話を松本さんの未来に戻そう。松本さん、大学はどこに進みますか。数学か理科の中学教師を目指すのであれば、教員養成課程ですか。

「いや、教育の学部じゃなくて、違う学部、いろんなことができる学部で、教員免許も取れる学部に行きたいと思ってます」

具体的な大学名のイメージはありますか。

「一応、筑波大。学力的には頑張らなきゃいけないんですけど。筑波受けるには足りないなと思ったら、埼玉大とか千葉大。俺は関東のほうに行きたいんです。まぁ、国公立に行きたいんですよ。でも、危ない橋は、たぶんあえては渡らないと思います(笑)」

松本さんのこのことばを聞いて「いいなぁ、関東……。松っちゃんが関東行くのに、わたしが駄目ってどうしてだろう」とつぶやいた高校生がいた。