欧米の男性が躊躇なく育休を取る理由

こう見てくると、欧米、日本それぞれ一長一短があることがわかります。

ここで、ようやく冒頭の、欧米ではなぜ男性でも育休を取るのか、を説明しますね。

欧米の場合、大多数のノンエリートは、そもそも出世の道が閉ざされているので、育休を取ろうが取るまいが、関係ありません。それじゃあ、男女問わず育休をとろうか、となるわけです。一方で、エリート同士が結婚した場合は、日本同様バリバリ働きますが、高給なので、家事や育児をアウトソースできます。これが、俗にシンガポールスタイルと呼ばれています。

日本の場合、「階段を上る」仕組みだから、育休などとれば、このコースから脱落してしまいます。しかも、欧米のエリートほど高給でもないから、家事や育児をアウトソースすることもできず、また、「家事育児は他人に頼まない」というような変な常識もある。だから結局、妻が階段を降りるしかなくなってしまう……。

赤ちゃんの世話をしながら家事をしている若い男性
写真=iStock.com/mapo
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誰もが階段を上る働き方が男も女も苦しめる

こんな社会だから、日本の女性のキャリアは、以下のような4つになっていきます。

【図表4】日本型雇用における「女性キャリア」4類型
※図表=海老原氏作成

1つ目は結婚しないで男性同様働く「おひとり様」。2つ目は、昭和期のOLモデルが原型となる「ハピキャリ派」で、事務職などに就き、結婚して退職するというもの。3つ目が結婚までは男性同様バリバリ働き、結婚または出産でキャリアを終える「短距離型」。そして、最後が「限界燃え尽き派」で、男性と同じ階段を上り、結婚、そして出産育休後もすぐに復帰し、短時間ワーカーとして働くものの、あまりの辛さに燃え尽きてしまうタイプ。

結局、「誰もが階段を上る」日本型の働き方が、男も女も苦しめているというのが、私の結論です。