コロンビア大卒・国立大准教授の“ガチ物理エリート”はなぜギャルルックでTikTokに降臨したのか「よく言われますが、ギャルが何なのかわかってない(笑)」(前島 環夏) 天文物理学者BossB氏インタビュー #1

「リンゴが落ちるのは、床と私が上に加速しているから! ……はぁ⁉」

TikTokに謎の女性・BossBが現れたのは、2020年のコロナ禍だった。見た目は完全にギャル、しかし語る内容は量子や重力、相対性理論などの「ガチ物理」。そのギャップが話題となり、SNS総フォロワーは現在60万人を超える。

いったいBossBとはどんな人物なのか。実は彼女、コロンビア大学で天文物理博士号を取得し、現在は信州大学工学部で准教授を務める研究者である。それがなぜ、SNSに降臨することになったのか。これまでの半生を聞いた。(全2本の1本目/2本目を読む)

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信州大学の准教授でもあるBossBさん 本人のTikTokより

「ギャルが何なのか、よくわかってないです(笑)」

──TikTokやYouTubeなどのSNSで、「物理をガチで語るギャル」「実はコロンビア大出身の博士」として話題ですね。なぜ、そのギャルスタイルに?

BossB よく「ギャル」と言われますが、私としてはまったくそのつもりはないんですよ。日本でギャルが流行った頃にはアメリカにいて、20年以上海外で暮らしていたので。ギャルが何なのか、よくわかってないです(笑)。

──そうでしたか。では、今のルックスになったのはいつ頃?

BossB 髪の色を変えたのは、高校卒業後にニューヨークに行ってから。同じ色だったことがないくらい、いろいろやりました。赤や青、黄色、緑はもちろん、白にしたり。坊主にしたときもあったし。

──坊主は強烈ですね。では、いわゆる「優等生」ではなかった?

BossB テストの成績はずっとトップレベルでしたが、先生の言うことを聞かないので、学校には嫌われていました。

私が中学生の頃はまだ昭和で、しかも田舎だったから、学校や部活で何かあると叩かれたり、連帯責任で正座させられるとか、しょっちゅうですよ。先生に抗議しても、頭ごなしに威圧してくるし。その頃から、日本の教育や社会制度はおかしいと思うようになったんです。高校でも反発心は変わらず、アナーキズムの本を読んでました。

海外に出た理由は、自分が抱えていた違和感の答えを見つけるためというのも大きいです。だから、若き日の私をあえてカテゴリ化するならば、「アナーキーパンク」だと思います。