人生、楽しんだ人が勝ち
高橋さんは自宅の壁を取っ払い、アイランドキッチンのある広いワンルームにして大きなテーブルを置き、メンバーが気軽に集える場所にした。自身のプライベート空間は、押し入れだった場所に置いた小さなベッドだけ。おせっかい仲間同士、仕切りも壁も要らないから。
「お金をかけないでやっていますから、みんなが協力してくれます。おせっかいに生きれば、周りに笑顔が集まってくる。人生、楽しんだ人が勝ちなんですよ。常識というのは、正しい顔をしながら人生を縛っている。だから、それに囚われないで楽しまないと。80代で、これだけ頑張っている人がいることをわかっていただき、皆さんに元気でいてほしい。多くの人たち、とりわけ未来の子どもたちが幸せになっていく、これだけが私の思いです」
2023年11月、創立10周年の記念イベントで、高橋さんは高らかに宣言した。
「20周年にも、皆さんと会いましょう!」
その時、自身は91歳だ。「もう、地球滞在時間は短い」との思いはどこへ、高橋さんのパワーみなぎる笑顔を見れば、これはもう間違いないと確信しかない。
福島県生まれ。ノンフィクション作家。東京女子大卒。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社)で、第11 回開高健ノンフィクション賞を受賞。このほか『8050問題 中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語』(集英社)、『県立!再チャレンジ高校』(講談社現代新書)、『シングルマザー、その後』(集英社新書)などがある。