人の意見に左右されやすい人はやりたいことが見つかりにくい

成功する経営者やスポーツ選手、音楽家などは、いい意味で「わがまま」が多いものです。たとえ、周囲から「無謀だ、やめておけ」と思われるような夢でも、自分を信じて突き進むことができます。世界の大富豪であるイーロン・マスクやジェフ・ベゾス、世界的に有名な映画監督の宮崎駿や建築家の安藤忠雄なども、自分を貫いて成功した人物でしょう。

人の意見に左右されやすい人は、やりたいことが見つかりにくい傾向があります。人の感情ばかり気にして、自分の得たいものにフォーカスできないからです。

自分のなかに占める他人の割合が多い、ともいえるでしょう。

人間の意識には「私的自己意識」と「公的自己意識」がある

では、なぜ、自分の意見ではなく、人の意見に従ってしまうことがあるのでしょうか?

そもそも、人間の意識には、「私的自己意識」と「公的自己意識」の大きく2種類がある、という研究があります(※3)(※4)

※3: Scheier,M.F. & Carver,C.S. 1976 Self-focused attention and the experience of emotion:Attraction, repulsion, elation,and depression. Journal of Personality and Social Psychology,35,625-636 /Scheier,M.F., Carver,C.S., & Gibbons,F.X. 1979 Self- directed attention,awareness of bodily states, and suggestibility. Journal of Personality and Social Psychology,37,1576-158./Cheek,J.M. & Briggs,S.R. 1982 Self-consciousness and aspects of identity. Journal of Research in Personality.16,401-408.

※4: Fenigstein,A.1979 Self-consciousness,self-attention, and social interaction. Journal of Personality and Social Psychology, 37,75- 86/ Carver,C.S. & Humphries,C. 1981 Havana daydreaming : A study of self-consciousness and the negative reference group among Cuban Americans. Journal of Personality and Social Psychology,40,545- 52./Cheek,J.M. & Briggs,S.R. 1982 Self-consciousness and aspects of identity. Journal of Research in Personality.16,401-408

私的自己意識とは、自分の外側よりも“自分の内側”に注意を向ける意識のこと。この意識が強い人は、自分の気持ちに対する感覚が鋭く、人の意見にも「違います」「イヤです」とキッパリ言える傾向があります。

そのため、“自分がどうありたいか”という「個人的アイデンティティ」を重視します。

一方、公的自己意識とは、自分の外側に注意を向ける意識です。公的自己意識が強い人は、他人から見られる自分を意識して、意思表示を抑えがちで、同調行動を多く示す傾向があります。

そのため、“他人にどう思われるか”という「社会的アイデンティティ」を重視します。

残念ながら、公的自己意識が強すぎると、他人の意見に流されやすくなります。本心では「いいえ」でも、「はい」と言ったほうが相手は喜ぶなどと、相手の気持ちを優先してしまうからです。