稲盛和夫さんが語った「生きる目的」

経営の神様として知られる稲盛和夫氏は「人間が生きる目的は、この世にやってきたときよりも高い次元の魂をもってこの世を去っていくことだ」という言葉を残しました。『スピリットサークル』は、まさにそうしたことをすんなりと腹落ちさせてくれる作品です。全6巻ですぐに読破できるので、ぜひ手にとってみてほしいですね。

キャラアート会長 保手濱彰人さん
撮影=プレジデントオンライン編集部

漫画以外では、宗教にも人を絶望から救うためのエッセンスが詰まっています。仏教でもキリスト教でも、基本的に宗教は人を救うためにあるもの。こうしたエッセンスを正しく理解するには、僕は脚色されたものや話の一部だけを切り取ったものではなく、開祖のようなおおもとの人の言葉をそのまま学ぶことが大事かなと考えています。

それもあって、僕は特に仏道に関心があったことから仏教の学校に入学し、今現在も生徒として学び続けています。まもなく卒業試験があり、合格したあかつきには僧侶を名乗れるようになります。今後は、仏道の教えから得たことを、漫画から学んだことと組み合わせながら広く伝えていきたいですね。

もっと大変なヤツはいる

絶望的な状況でメンタルを保つために、もっと身近な方法もあります。僕がよくやるのは「今の自分よりもっと大変なヤツいるよな」「この人に比べれば自分はまだマシだな」と考えてみること。そして、それを実感するために、自分よりずっと大変な人が出てくる漫画を読むのです。

お勧めは、絶望的な怖さの巨人と人間たちの戦いを描いた『進撃の巨人』、メインキャラクターの一人である阿久津が絶望しながらも立ち上がるサッカー漫画『アオアシ』、日本壊滅という絶望的状況の中でサバイバルが繰り広げられる『ドラゴンヘッド』など。どれも主人公たちがものすごく大変な目に遭うので、読むたびに「俺なんて全然楽だな」と思えて、おかげで絶望を乗り越えてこられました。進撃の巨人でいえば、「エレンの状況に比べればまだ自分はマシだ」と実感するのです。

絶望するかしないかは、コップに水が半分入っているのを見て「半分しかない」と思うのか、「半分もある」と思うのかの違いではないでしょうか。前者なら絶望を抱えることになりますが、後者のようにポジティブに捉えることができれば、絶望も次の挑戦への糧や新たなスタート地点として見られるようになります。これを陽転思考といいます。