成長投資枠に数年間で資金を追加投入

一方で、50歳ともなればこれまでに貯蓄をしてきた分があるでしょうから、例えば、満期になる定期預金を毎年200万円ずつ3年間、あるいは毎年100万円ずつ6年間投資に回して、成長投資枠を使ってキャッチアップを図ります。成長投資枠は年間投資可能額が240万円と大きいので、そうした使い方が可能です。

こちらも、まとまった金額を年1回で投資するというよりは、何回かに分けて積み立てる設定にした方が買い付けるタイミングの分散になりますし、手間もストレスも少ないのでお勧めです。

この“キャッチアップ投資”の金額は、この例では600万円となります。前述のつみたて投資枠の積立総額1200万円と合わせて、新NISAの非課税保有限度額1800万円(取得金額ベース)をすべて使うことになります。

[つみたて投資枠]月5万円積み立て×20年間=1200万円
[成長投資枠]年200万円×3年間(年100万円×6年間)=600万円
→投資総額 1800万円

20年前に始めていれば1800万円は4600万円に

仮に毎月5万円、50歳から3年間は年200万円も上乗せして投資すると、投資元本の1800万円は70歳時点でどれくらいの時価評価額になるでしょうか。年率4%で運用できたと仮定すると、その金額は約3098万円になります。これをもし今から20年前にさかのぼって始めていれば、TOPIXに連動した投資を続けたとして積み立てでの運用利回りは年率7.75%(2003年7月~2023年6月の実績)、200万円ずつ投資した資産も3倍程度になって、評価額は約4600万円と大幅に増えています。

成長グラフ
写真=iStock.com/Eoneren
※写真はイメージです

ここでのポイントは、新たに投資をするのはつみたて投資枠の毎月5万円だけで、成長投資枠を使う分の600万円はこれまでにためてきたお金を投資に回すということです。

実際に、日銀の金融広報中央委員会の調査によれば、2022年時点で50代の世帯(世帯人数2人以上)が保有する平均的な金融資産額は1684万円となっています。非常に大きな資産を持つ人も中にはいるため、平均値というのは実態に照らすと高めに出がちです。ただ、同調査ではちょうど真ん中の数字、つまり中央値で見ても810万円ですから、50代の人がこれまでにつくった金融資産から600万円を投資に回すというのは、ある程度現実的な話と言っていいと思います。