「女の子が好きだったのに変わってしまった」という葛藤も

さらに、「自分は被害のせいで、バイセクシュアルなんじゃないかと思った」「混乱しているように感じる。たぶん、自分はあのことがあったからバイセクシュアルなんじゃないかと思う。今でもすごく女性に惹かれるけれど」と語っている被害者の例もあります。

日本においても、「女の子が好きな普通の男だったのに。あのことで自分は変わってしまった。自分からホモになりたくてなったんじゃない」という男性被害者の葛藤が記されています。

加害行為を男性が受けると、セクシュアリティや性行動に影響が及ぶと報告されており、この影響はジェンダー化された存在としての自己のセクシュアリティをどのように捉えるかという点や、性的なアイデンティティをどのように構成し維持するかという点と関連することが示唆されています。

宮﨑 浩一(みやざき・ひろかず)
臨床心理士、公認心理師

1988年、鹿児島県生まれ。立命館大学大学院人間科学研究科博士課程後期課程。研究テーマは男性の性被害。

西岡 真由美(にしおか・まゆみ)
臨床心理士、公認心理師

1976年、佐賀県生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。看護師、保健師でもある。