中学不登校からフリースクールを経て通信制高校に進めた

Fくんはそのまま通信制の高校に進み、スクーリングが週3まで増えていきました。新しい環境の中で緊張することが多かったようで、下痢は続いているとのことでした。

今西康次『朝、起きられない病』(光文社新書)
今西康次『朝、起きられない病』(光文社新書)

高2の3月に半年ぶりにやってきたFくんは、元気に過ごしてはいるけれども、「友達と話している最中におなかが痛くなるのがつらい」と訴えてきました。そこで、過敏性腸炎の治療薬「イリボー」を処方。この薬は効果があったようで、「トイレにかけこむほどの腹痛はなくなった」と報告してくれました。イリボーのほか鉄剤も、内服をやめてしまうと下がる傾向にあるため、少量で継続してもらっています。

現在高校3年生のFくんは、健康的に日焼けして、非常に精悍せいかんで活気に満ちあふれています。高校卒業後の進路についても前向きに考えているようなので、彼なりのいい人生設計ができるといいなと思っています。

今西 康次(いまにし・やすつぐ)
小児科医

1961年京都府生まれ。名古屋大学理学部地球科学科卒業。外資系企業にエンジニアを12年間勤務した後、大分医科大学医学部医学科を卒業。中部徳洲会病院、聖路加国際病院小児科に勤め、南部徳洲会病院小児科部長を務めた後、沖縄市に「じねんこどもクリニック」を開業。著書に『ダイエット外来の減量ノート』(筑摩書房)がある。