日銀の金融緩和継続で「ミニバブル」が発生する
にもかかわらず、経済財政白書ではなぜ、脱デフレではないといっているのでしょうか。私の深読みでは、「デフレから脱していないから金融緩和を続ける」というメッセージではないかと考えています。データを見る限り、明らかにインフレになっていますが、政府の建前は、まだデフレなのです。
それを裏付けるような記事も掲載されています。9月1日の日本経済新聞に「日銀緩和継続、日本株戦略は 続く物価高で不動産株妙味 英マン系日本株式運用ヘッド ジェフリー・アサトン氏」との記事が掲載されました。
英マングループは、ヘッジファンドの会社です。日本株式運用ヘッド、ジェフリー・アサトン氏は、記事の中で「日銀が(金利から予想物価上昇率を差し引いた)実質金利をマイナスにする状況は当面続くとみる」と語り、それが「ミニバブル」を生み出し、日本の国内資産に対する関心は再燃する、としたのです。
コロナ禍では日本でもリモートワークが一気に浸透しましたが、すでに戻り始めています。また、住宅価格は上昇していますが、商業用不動産はそれほど動いていません。「今後、日本の不動産はもっと投資妙味が上がるのではないか」とも言っています。
海外投資家は日銀が金融緩和を続けることを前提に動いていることがわかります。
大学10兆円ファンドに東北大学が選ばれた理由
一方で9月1日には「大学10兆円ファンド、東北大が支援第1号に 研究体制評価、半導体・量子を強化」との記事が掲載されました。また、9月2日の記事「10兆円大学ファンド、東北大学はなぜ選ばれた? よくわかる」では、東北大学が選ばれた理由として「スタートアップを8倍の1500社に増やすといった具体的な計画が評価された」とされています。
大学ファンドとは、株式や債券で運用した資産の運用益を「国際卓越研究大学」に分配して研究力の向上を図ろうとする制度です。支援額の上限は全体で3000億円、最長25年間受け取れます。
今回が初回の応募で10校が名乗りを上げたそうです。その中で、東大でも京大でもなく東北大が1号になったのには、意味があると私は思います。