「会社四季報」で「東北」がキーワードとして増加

このところ東北の活躍が続いているからです。

たとえば、全国高校野球では昨年、仙台育英が初優勝し、優勝旗が初めて「白河の関」を超えたと話題になりました。「白河の関」は奈良時代から平安時代頃に機能していた国境の関で、古くから「東北の玄関口」として知られています。

東北に注目が集まり始めているのは、『会社四季報』でも感じていました。

株価が大きく上昇する銘柄を見つけるには、他の人よりも早く、時代を映し出す「キーワード」を見つけることが大事です。『会社四季報』には、コメント欄があります。ここに登場する「キーワード」に注目すると、時代のテーマを知ることができます。今年3月に発売された『会社四季報2023年2集 春号』で、「東北」がキーワードとして増加していることに気づいたのです。

「会社四季報」のキーワードは3段階で成長する

四季報に登場する「キーワード」は、3段階で成長していきます。

この過程はアイドルの成長にたとえるとわかりやすいでしょう。

少数ワードの段階は、アイドルでいえば、デビューしたばかりです。将来、知名度が上がれば、大きく成長する可能性がありますが、そのまま消えていくリスクもある状態です。

『会社四季報』には3800社以上の全上場会社が収録されていますが、少数ワードとは、各社のコメントで数件しか登場しないワードのことを示します。私自身はこれまでに100冊以上の『会社四季報』を読破してきていますから、少数ワードには自然と気づきますが、簡単に見つける方法もあります。

【図表】3段階で成長する「会社四季報」のキーワード
図表作成=渡部清二

有料会員向けではありますが、「会社四季報オンライン」の検索機能を使って、気になるキーワードを検索して、数件しかヒットしなければ、少数ワードといえます。少数ワードはデビューしたばかりの新人ですから、水面下にある「潜在テーマ」ともいえます。

「増加ワード」は、3カ月前に『会社四季報』の前号が発売された時点と比較して、登場回数が増えたキーワードのことです。増加率が高ければ、市場の関心が高まっていることを意味します。つまり、「少数ワード」から「増加ワード」へ移行したキーワードは、投資やビジネスのチャンスにつながる可能性が高いのです。

アイドルであれば、知名度が上がり、ファンの関心が高まっている状態です。「東北」は『会社四季報2023年2集 春号』で、3カ月前と比較して増加率が2倍になっていました。

「多数ワード」は、コメント欄に登場回数の多いキーワードです。すでに誰もが認識している「顕在テーマ」になっています。