たとえばこういう人の場合

33歳女性、大学院卒。現在まで2社にて勤務。今回は3社目の転職で、異業種・同職種への応募。

NG!
急に言われても対応できない場合はあります。

↑言い切りで終わるのではなく、対応できない理由もきちんと説明してください。

OK!
状況によりますが、できるだけ対応します。そうした場合は高い緊急性があるでしょうから、他の所用よりも優先すべきと考えるからです。
また私の経験上、そういった緊急性が求められるケースは、ある程度、事前に想定できると考えています。
たとえば前職では、納入後はどうしても様々な不具合が出ることが予見できていましたから、その時期に限ってはメンバー全員が臨戦態勢を取るようにしておりました。
今はWi-Fi環境も整っていて、時間・場所を選ばなくても仕事ができますし、前職でもそういった対応をして、急場をしのいだことが何度かありました。

↑対応しようとする意気込みや具体的な対応策、そして前職の経験を語ることにより、単なる思いつきで「できる」と答えたのではないことが分かります。

子会社や関連会社への出向に対応できますか?

【面接官が知りたいのはココ】
在籍出向なら拒否はNGだよ
転籍出向なら拒否はアリだが、納得のいく説明を

対応できるのであれば、「できます」で終わりですが、なぜできるのか、面接官はきちんと納得のいく理由を聞かせてもらいたいと思っています。

中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)
中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)

また、ここは「イエス」が必須ではなく、実は「ノー」と答えて良い場合もあります。

出向には在籍出向と転籍出向の2つがあります。

前者は、社員の籍はそのままなので、社内人事異動と同じ扱いです。

後者は、籍を抜いて次の会社に移るので、いわば違う会社に転職をすると同じ意味合いになります。

なので前者を受け入れないとすると、通常の人事異動も受け入れない人と見限られるでしょうが、後者は法的にも労働者の同意を取ることが必須になりますので、「ノー」も可能です。

たとえば、「御社で働くことを強く希望していますが、仮に入社が叶っても、転籍出向となると希望とは大きく乖離かいりしてしまうため、今は受け入れがたいです」というように回答すれば、面接官も納得でしょう。

たとえばこういう人の場合

29歳男性、大卒。新卒入社した会社で勤務中。今回は2社目の転職で、異業種・同職種への応募。

NG!
えっ、それって、労働法規とかに抵触しないんですか?

↑感情的に食ってかかるのは論外です。

OK!
はい、大丈夫です。
出向の経験はありませんが、友人も就職した会社の子会社に当たるカード会社に出向しております。
出向先から必要とされ、請われて行くわけですし、自分がやるべき仕事がある以上、どのような企業、職場であっても私はまったくかまいません。私にとっては大同小異な話です。
それよりも優先すべきことは、御社への入社が叶った場合、この業界はまったくの未経験ですから、できるだけ早く仕事を習得して、職場の皆様方に認めて頂けるようになることです。
まずは、そこに集中していきたいと思っています。

↑出向に対する考え方を明確に伝えた上で、それよりも優先すべきことがあるとして、入社後の仕事を頑張るPRにうまくつなげています。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
社会保険労務士、キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)

NTTでSE、リクルーターを務めた後、1社で採用人事を含む経営企画を担当。2004年に独立開業。社労士として埼玉、東京を中心に中小企業の労務顧問を多数担い、2社の人事部長を任される等、現場最前線で人事労務コンサルを実践、労務問題と解決策を熟知。特に「モンスター社員」対策に精通。キャリアカウンセラーとして埼玉県教育委員会や自治体が運営する就労支援機関、4つの大学のキャリアセンターでの勤務を通じ就職支援実績が豊富。日本では数少ない、応募者と採用者の両面を熟知する存在。NHK、読売新聞、マイナビ転職等マスコミ取材実績多数。著書に『面接官が本音で教える集団面接・GD完全対策マニュアル』、『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)等がある。