「保育園落ちた日本死ね!」から改善は

妻の怒りはもっともだ。結果的に全国の多くの母親は、少なからず「ウソ」をついて、「保育園が(たぶん)決まりました」とフライング気味に報告をして職場を確保したうえで、保育園がどうしても見つからない場合は、ベビーシッターなど次善の策を考えることになる。ベビーシッターを常時お願いするとなると金銭的負担は大きく、働いて稼いだ分をそのまま全額回すようなことにもなりかねない。

こうした事情はとっくに問題になっている。2016年、はてなブログの匿名ダイアリーに投稿された〈保育園落ちた日本死ね!!!〉と題する次の内容が物議をかもしたことを覚えている方も多いだろう。

当時の衝撃的な投稿を引用する。

何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ? 何が少子化だよクソ。

このニュースに接した当時はまず第一に、「言葉遣いが悪いなあ」という印象が先行したが、今となっては言葉が荒れる気持ちがわからなくもない。その後、どこまで状況が改善したかと言えば、根本はあまり変わっていない。「待機児童ゼロ」を目指して、それを実現している自治体も増えてきてはいるが、実際に保育園を探した経験から言えば、「仕事と保育園を同時に決めなければならない」というシステム自体が矛盾している以上、特に都心で働く育児家庭にとって、かなり厳しい状況であることに変わりはない。

文京区から足立区へ

というような不満はいったん保留して、とにかく我が家としてできる限りの行動に出た。まず引っ越しを敢行した。子育てするには手狭で家賃も高かった文京区を離れ、2021年6月から、保育園の数が多く、公園など子育て環境が充実した足立区に転居した。えっ、足立区が! と意外に思う方もいると思うが、これがなかなかに住みやすいのだ。

足立区は子育てにかなり力を入れていて、保育園に入れる前になにをどうしていいかわからない子育て家庭の相談に乗ってくれる「保育コンシェルジュ」という相談員が区役所に常駐している。引っ越しを決める前に、まずは足立区がどこまで真剣に子育てに取り組んでいるかを知るため、そこへ相談に行った。