「おもしろさ」で評価される時代へ

ジェネレーティブAIが有能なツールになればなるほど、「人間にしかできないこと」をすることが、人間の仕事になっていきます。では「人間にしかできないこと」とは何かというと、「おもしろいこと」「風変わりなこと」です。

ジェネレーティブAIは、いってみれば、「めちゃくちゃ物知りな優等生(ただし、ときどきすごい嘘をつく)」です。クリエイティビティがないわけではありません。

特に最新のGPT-4を搭載したChatGPTやBingは「○○をテーマに俳句を詠んで」「昭和の夫婦漫才風の漫才を書いて」といったオーダーに対して、それはそれで、なかなかおもしろい作品を生成できるようになっています。

GPT-4では、テキストで出すオーダーだけではなく、画像を交えて出すオーダーにも答えられるようになる見通しです。写真やイラストの「意味」を理解し、オーダーとして受け取って、アウトプットを生成できるようになる予定です。

人間と人工知能が向き合うイメージ
写真=iStock.com/imaginima
※写真はイメージです

「ひねり」を加えることは人間にしかできない

しかし重要な事実は、「ジェネレーティブAIの生成物は、蓄積された過去のデータのサンプリングにすぎない」ということです。

もちろん、人間のクリエイティビティも過去のデータを多分に参照したうえで生まれるものですが、そこに「自分」という人間ならではの「ひねり」を加えることは、人間にしかできません。

ジェネレーティブAIに「ひねりを利かせて」とオーダーすることはできます。しかし、そこで利かされる「ひねり」も、結局のところ過去データのサンプリングにすぎないということです。

この話の根底には、「クリエイティビティとは何か、それはどこからやってくるのか」という非常に深い問いがあるのですが、そこまで踏み込むのはやめておきましょう。

そのうえでいうならば、いくらジェネレーティブAIが進化し、多少なりとも「おもしろいこと」「風変わりなこと」ができるようになっても、「人間ほど高次元なレベルではできない」という仮説を僕は立てていますが、一方で、ジェネレーティブAIは、人間を超えるようになると信じる人たちがいることも事実です。