知らない分野でジェネレーティブAIに頼るのは危険

AIのテクノロジーは、どんどん進化を続けています。僕自身は、いずれAIが人間を超えるという立場は取っていませんが、人間の「ツール」として、今とは比べものにならないくらい有能になっていくことは間違いありません。

中長期的に見れば、そのなかで「人間にしかできないこと」の範囲も少しずつ変わっていくとは思いますが、ゼロになることはないでしょう。

ジェネレーティブAIが生成した「たたき台」をチェック、精査し、ベストなものを選ぶ、あるいはベストなものへと練り上げるというのが、人間の主な仕事になっていくと思います。

ジェネレーティブAIは、現在は、かなり頻繁に間違えます。したがって、自分が間違いに気づけないような、まったく知らない分野で、ジェネレーティブAIに頼るのは危険です。

人工知能のイメージとChatGPTの文字
写真=iStock.com/THAWEEKIET SRIRING
※写真はイメージです

理解している分野で使うことで仕事は効率化する

一方、ある程度、自分が理解している分野のことならば、ジェネレーティブAIは非常に使えるツールになります。エラーをチェックする手間を割かなくてはいけないといっても、常にゼロから自分で手を動かして生成するより、ジェネレーブAIを使ったほうが、格段に仕事の効率は上がります。

僕は、AIにコードを書かせるときに、よくそう感じます。

かなり複雑なコードでも一瞬で生成してくれるのですが、仮に10個のコードを書かせたとして、たいていは、そのままで機能するものは1つもありません。どこかがちょっとだけ間違えている。そこを見つけて修正するわけですが、それでも、感覚的には自分でゼロから書くより100倍速いのです。

このような変化が、あらゆる分野で起こっていきます。まずジェネレーティブAIに仕事をさせて、それを自分の目でチェックし、誤りがあったら正す。こうして全体のパフォーマンスを上げていくというのが、新時代に活躍する人の働き方として定着していくでしょう。