日本でもAirPodsは「うどんみたい」と不評だったが…若者のあいだで「有線イヤホン」が流行した“真相”(辰巳JUNK)

若者の流行はめくるめく速さで変わっていくが、ときに、大人たちを驚かせることもある。アメリカで起こった有線イヤホン旋風がいい例だろう。

このとき「イットガール(イケてる女子)のアイテム」とされたのはApple社が販売している有線イヤホンEarPods。スマートフォンと無線でつなげられるAirPodsがスタンダードになっていたのに、古い有線型がZ世代を魅了したのだ。

急速に広まった、「AirPodsはダサい」という認識

はじまりは2019年。人気モデルのベラ・ハディッドがEarPodsをつけながら街を闊歩して話題を呼んだ。2021年には、ジョニー・デップの娘リリー・ローズ・デップなどが続々と採用していき、着用芸能人を紹介するInstagramアカウントが1万フォロワーを超えるほどのトレンドとなった。

このうち、人気ドラマ『ウェンズデー』主演のジェナ・オルテガに至っては、ヘッドホンを首にかけているのに有線イヤホンを耳につけるW使いでオシャレさをアピール。ここからわかるのは、有線イヤホンがオシャレのためのアクセサリーと化したことだ。

なぜ有線イヤホンが流行ったかというと、AirPodsがダサくなったことに尽きる。2016年リリース時、日本でも「うどんみたい」だと話題になったこのアイテムは、デザインによって支持されたわけではなかった。Apple社がiPhoneにEarPodsを同封しなくなった都合で購入してたユーザーも多い。

こうした流れもあり、同社のワイヤレスステレオ市場シェアは3割に到達。あまりに普及しすぎたAirPodsは「人と違うもの」を求めるファッショニスタたちが避けるべきダサさの象徴となった。

最新機種を追い求める姿勢もダサくなっていた。ひとつ上のミレニアル世代(1981~1996年生まれ)には新しいテクノロジーに熱狂する向きがあったが、ものごころついた頃からスマートフォンを持っていたZ世代の場合、そうした感覚は薄め。

むしろ巨大IT企業への不信感もあって、「ガツガツしたテック野郎と思われたくない」学生も多いようだ。