優良企業の内定を勝ち取るコツ
自分のキャリアの方向性として、過去のコンテンツビジネスの経験を活かしつつ、今後は「新事業の立ち上げ」にも挑戦していきたいと考えています。特に、御社が近年力を入れている「D2Cコンテンツ配信」事業のユニークなビジネスモデルには強い興味を持っております。この事業であれば、私がこれまで培ったエンタメ業界のプロジェクト管理のノウハウを上手く活かし、御社の新事業展開においてもPM(プロダクトマネージャー)として貢献できるものと考え、今回応募させていただきました。
GREATポイント‼ ストーリーを語る
この回答では、「自分自身の過去のキャリアから応募ポジションへのつながり」を上手くストーリーとして語っているのがポイントです。
先ほどのOK回答の中に合った「御社のビジネスに少しでも貢献できるよう、一生懸命頑張りたいと思っております」という表現も、熱意を伝える意味では決して悪くはないのですが、これでは、この会社の「何」に、具体的に「どうやって」貢献するのか? が不明瞭です。
自分の過去の経験がこの会社でどう生きるのか、自分はこの会社で何を目指しているのか、というキャリアのストーリーを上手く「志望理由」に組み込めると、評価はグッと上がります。
「この会社の新しい事業のビジネスモデルの特異性」に強い興味を持った、という部分も、非常に重要です。このような「企業研究」「業界研究」をきちんとしていないと答えられない深い内容は、片っ端から面接を受けているだけの他の候補者との明確な差別化になります。
相手企業のことを事前にしっかりと研究し、その会社に特に興味を持った部分、自分の経験を生かせると感じた部分などを、「志望理由」として、自分の言葉で語りましょう。
志望動機が浮かばない2つの理由
「志望理由」が特にない、と悩んでしまう場合は? たまに、上手い「志望理由」が思い浮かびません……と悩む人がいます。この理由は、下記2つのいずれかです。
×その時点で「企業研究」が足りていない
×そもそも、検討中の求人が自分の適性に合っていない
当然ですが、「志望理由が特にない」のであれば、その企業の面接は受けない方が良いです。企業のウェブサイトを軽く眺めた程度で作った薄っぺらい「志望理由」は、すぐに面接官にもバレるので、結局は内定にたどり着けません。その求人が自分にとって適性のある仕事であれば、企業や業界について調べれば調べるほど興味が出てきて、「志望理由」は自然と湧いてくるはずです。
「志望理由」に説得力を持たせるストーリーの作り方
一方、「その会社に入りたいという熱意はあるのだけれど、未経験分野だし、自分の過去のキャリアと上手くつなげられない……」と悩む人には、ひとつ、「ストーリーの考え方」のヒントを差し上げましょう。
「この面接に自分が呼ばれた理由」を考えてみてください。
なぜ、あなたは書類選考を通過できたのでしょうか? 面接官はあなたの経歴のどこに目をつけ、どんな役割を期待しているのでしょうか? 業界分析・企業分析で相手企業が置かれた状況を理解し、想像力を働かせて、「自分に期待されていること」に、全力で答えましょう。
過去のキャリアと転職先のポジションをつなげるストーリーは、自分の内面から自然と生まれるのではなく、相手のニーズから必然性を持って作り上げるものだからです。
1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系メーカーなどを経て、2020年より外資系大手IT企業のシニアマネージャー。「転職とキャリア」をテーマに、ブログ、Twitterなどで情報発信を続け、日経BP『日経トレンディ』、東洋経済新報社「東洋経済オンライン」、マネーフォワード「MONEY PLUS」など、多くのメディアで取り上げられている。著書に『私にも転職って、できますか?~はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話~』(ソーテック社)、『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント』(かんき出版)などがある。