冷蔵庫やテレビが長期トレンドになった理由

冷蔵庫も同様です。冷蔵庫のない時代は食品を衛生的に保存することが難しく、必然的に毎日食料品の買い出しに行かざるを得ませんでした。人は食べなければ生きていくことができません。ただでさえ今よりも家族の数が多かった時代、家族を飢えさせないように日々の食糧を確保することには、大変な労力が求められたに違いありません。

渡部清二『会社四季報の達人が全力で選んだ 10倍・100倍になる! 超優良株ベスト30』(SBクリエイティブ)
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最近はテレビを持たない人やあっても見ない人も増えてきていますが、長い間、多くの人にとって手近で安価な娯楽であり続けました。

こうして「三種の神器」は一過性のブームではなく、人々の生活を便利にしたことから長期トレンドとなり、消費を押し上げ、それに関連する銘柄が成長していったのです。

最近ではインターネットがそれに該当します。

インターネットの黎明れいめい期、拒絶反応を示す人は少なくありませんでした。ある人から、1990年代に書かれたある小説を読んでいたら、20代の女性主人公が「友人のY子は『自分は死ぬまでインターネットはしない』と言っている」と語る場面が出てきてびっくりした、と聞いたことがあります。また、ご高齢の方の中にはウェブやインターネットを「怖いもの」と思い込んでいる方も多かったように思います。

長期トレンドとなりえる潜在テーマを見つけて関連銘柄を仕込む

今の時代にこのようなことを言う人はあまり見かけません。

しかしこの例に見られるように、当時はインターネットがここまで私たちの生活に浸透し、必要不可欠なものになると認識していない人も多かったのです。

今も昔も、長期間にわたって私たちの生活を便利にしてくれるものが長期トレンドとなり、経済を動かす要因の1つになっていくことは間違いありません。

みなさんもぜひ長期トレンドとなりえる潜在テーマを見つけて、関連銘柄を仕込んでおいてください。

渡部 清二(わたなべ・せいじ)
複眼経済塾 代表取締役・塾長

1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。20年以上の継続中で、2022年秋号の会社四季報をもって、計100冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。2017年3月には、一般社団法人ヒューマノミクス実行委員会代表理事に就任。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一「四季報」を愛する男」と紹介された。著書に、『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SB新書)、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『「会社四季報」最強のウラ読み術』(フォレスト出版)、『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)などがある。