社長との最終面接で不採用に

Aさんには、大手企業やベンチャーなど複数社での勤務歴があります。管理部門のさまざまな業務を経験しており、最近ではカスタマーサポート部門でマネジメントも手がけていた方です。

Aさんが応募したのはX社。急成長を遂げ、「上場」も視野に入った段階のベンチャー企業です。

事業が拡大し、組織や職種の細分化も進んでいたX社では、多様なポジションでの採用を行っていました。どんな経験を持つ人が応募してきても、何らかの「当てはまるポジション」があるような状態です。

幅広い経験を持つAさんも、いずれかのポジションで活躍できることを期待され、書類選考~1次面接を通過しました。

ところが、社長との最終面接で不採用となってしまったのです。

「何でもやります」が「自分の意思がない」と判断された

社長はAさんの採用を見送った理由を、こう語りました。

「自分の意思がない人だね。いずれはチームリーダー、マネジャーとして活躍してほしかったけれど、ちょっと任せられるイメージが持てないな」

Aさんはもともと、強く自己主張しないタイプの方。X社の面接では、「配属先・担当業務の選定はお任せします」「私にできることであれば、アサインいただいた業務で頑張ります」というスタンスで受け答えをしたのです。

もちろん、企業によってはAさんの「何でもやります」的なスタンスを歓迎し、採用することもあるでしょう。しかしX社の社長は、「私はこの会社でこれをやりたい、これを実現したい」という意思がない人は、メンバーや組織の成長を引っ張っていけない、と考えたのです。

女性に多い「“受け身”の姿勢で評価ダウン」

なお、私が知るスタートアップやベンチャー企業の社長の多くは、X社と同様の考えを持っています。

つまり、どんなに豊富な経験や高度なスキルがあっても、「受け身」の姿勢では評価ダウンにつながってしまうのです。

言い換えれば「本気」「覚悟」を感じられない。本気で会社の成長を目指している経営陣の目には、頼りなく映ってしまいます。

実は、女性にはAさんと同様のタイプの方が多く見受けられます。それは、「謙虚」「柔軟」という良い面もあるものの、採用選考においては裏目に出てしまう可能性もあることを理解しておいてください。

採用と不採用の間に引かれた線
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